中国で急増する「売れ残り男」、ベトナム、ミャンマー、ラオス、遠くはマダガスカルまで嫁探しの旅も苦戦中

結婚できない中国の男性たちが、海外から花嫁を買う。そんな悪い噂のようなことが実際に起きているらしい。なぜ彼らは結婚できないのか。どのようなルートで海外から花嫁を買っているのか。この問題に詳しいスウェーデン・ルンド大学研究員(専門は東アジア研究)のミン・ガオ氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──中国には「余り男の時代」という言葉があるそうですが、どういう意味ですか? ミン・ガオ氏(以下、ガオ):「余り男の時代」という言い方は、中国語で「剩男時代」と書きます。中国に推定3000万人から5000万人ほどいると言われる、結婚できない中国人男性たちを指すインターネット用語です。2020年頃からこうした言われ方をするようになりました。 中国には「剩男時代」という曲もあり、Spotifyで検索できます。曲の歌詞が面白く、「残された者は運命を受け入れるしかない」「絶えず後悔しながらため息をつく。これはどんな時代なのか?」といった部分などは印象的です。 中国には「余り男」に対して「余り女」という言い方もあります。中国語では「剩女」と書き、日本語的に言うならば「売れ残り」といった意味になります。もちろん、差別的な意味合いを含んだ言い方です。 中国では「売れ残り男」と「売れ残り女」の間には重要な違いがあります。「売れ残り男」の多くは自ら望んでそうなったのではなく、不本意に結婚から取り残された人たちです。これに対して「売れ残り女」は自ら独身を選んだ人たちを指します。 ──結婚しないことを選択する女性が中国で増えているのですか? ガオ:急増しています。ある意味では、結婚しないことを選択する女性の増加が、昨年の中国の結婚登録率が歴史的に低かったことの大きな理由の一つです。 中国の結婚率は急激に低下しています。2024年の全国の結婚登録数は610万件で、前年の770万件から大きく数を減らしました。これを受けて、中国の国家政治顧問が、法定結婚年齢を22歳から18歳に引き下げることを提案したほどです。 中国の女性たちが結婚しなくなってきた背景には、いくつもの要因がありますが、たとえば、女性の教育レベルの向上や、結婚や家族生活に対する考え方の変化があります。 経済的自立により、現代の中国人女性たちは結婚しないことを選択できるようになってきたのです。若い女性の間では、伝統的な家族の役割よりもキャリアやQOL(生活の質)の向上を優先する傾向が強まっています。 ──結婚できない男性が増えているのはなぜですか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする