茨城県警土浦、ひたちなか、那珂、笠間、水戸の5署と県警捜査3課の合同捜査班は8日、盗品と知りながら銅製のメタルケーブル1本(時価6万5000円相当)を買い取ったとして、盗品等有償譲り受けと組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで、中国籍で同県土浦市、金属買い取り業役員、男(31)を逮捕した。同課によると、男は容疑を否認している。 逮捕容疑は昨年8月6日、同所の同社敷地内で、メタルケーブル1本が盗品と知りながら2万100円で買い取った疑い。県警は、法人としての同社を組織犯罪処罰法違反の疑いで9日にも書類送検する方針。 県警は同11月、このケーブルなどを土浦市内の通信設備工事会社(本社栃木県宇都宮市)の営業所から同8月5日に盗んだとして、茨城県ひたちなか市津田、無職、被告の男(25)=窃盗罪で起訴=を逮捕。押収品の捜査や関係者の供述などから中国籍の男の関与が浮上した。 県警は8日朝、盗品等有償譲り受けなどの容疑で金属買い取り業者の事務所を家宅捜索し、スマートフォンや取り引き記録などを押収した。 現場は常磐自動車道土浦北インターチェンジのすぐ近くで、敷地内には山積みの金属ケーブルや鉄パイプ、廃材などが雑多に置かれていた。 県警はほかにも盗品を買い取っていた可能性があるとみて、窃盗グループとのつながりを含め実態解明を進める。 ■処分先の摘発強化 太陽光設備のケーブルや敷鉄板などの金属盗の被害で、茨城県は全国ワーストが続いている。 県警によると、昨年1年間の金属盗の認知件数は3628件で、統計が始まった2020年から5年連続で全国最多だった。 今年は3月末時点で493件(暫定値、前年同期比383件減)と改善しつつあるものの、依然として多い。 このため県警は、実行犯の摘発だけでなく、盗品の処分先である買い取り業者の摘発など「出口対策」にも力を入れている。昨年9月には土浦市内に拠点を置く業者の男を初めて逮捕し、翌10月には笠間市内の業者も逮捕した。 今月1日には、売り手の身分証写しの保存など買い取り業者の規制を強化する県の改正条例も施行。県警は「盗品を売りにくい環境づくりを進める」としている。