広島県福山市と三原市に住む20歳の大学生2人が広島県警に覚醒剤取締法違反(使用)容疑で10日に逮捕された事件は、若者に違法薬物がまん延している実態を改めて突きつけた。県警が2024年にそれぞれ覚醒剤と大麻の取締法違反容疑で摘発した20代以下は85人で、14年(17人)の5倍に上る。県警は覚醒剤の入手経路や常習的な使用の有無などについて調べてい。 今回逮捕されたのは、福山市在住の大学生の男(20)と、当時少年だった三原市在住の大学生の男(20)。県警や関係者によると、2人は県東部の同じ大学に通う友人。3月9日に広島市中区でパトカーが走行中、2人が乗る車が速度を急に上げたのを不審に思って職務質問し、任意の尿検査で陽性反応が出た。2人は「覚醒剤は使っていない」と容疑を否認しているという。 若者の薬物汚染は全国で課題になっている。 県警によると、24年に県警が覚醒剤取締法違反容疑で摘発した105人のうち、20代以下は過去10年で2番目に多い19人に上る。大麻は同じく24年に摘発した81人のうち、20代以下が66人で8割超を占めている。 大麻は「ゲートウェー(入り口)ドラッグ」と呼ばれ、交流サイト(SNS)では「野菜」などの言葉で取引されている。県警は「『合法』や『有害性がない』などの誤った情報が拡散し、安易に手を出す若者が後を絶たない」とみる。 大学生の違法薬物事件を巡っては、23年夏に日本大アメリカンフットボール部で発覚。県内では24年1月、福山大(福山市)のサッカー部員の男が大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕され、この男を含む部員ら計6人が立件された。 県内の各大学ではこうした状況を受け、県警と連携するなど学生向けの注意喚起を強めている。県警組織犯罪対策3課は「一度でも使うと自分の意思でやめるのは難しい。もし誘われても絶対に断ってほしい」と呼びかけている。