「何も変わっていない」 強い影響力“健在” 山教組問題
2009年12月6日7時56分配信 産経新聞
山梨県教職員組合(山教組)の選挙資金集めをめぐり、罰金刑を受けた元財政部長が教頭に昇任していた問題は、山教組が依然、山梨の公教育に強い影響を及ぼしていることを浮かび上がらせた。教員側からも「何も変わっていない。教育行政は、このままにしておいていいのか」という声が上がっている。
過去、山教組は小中学校の校長・教頭人事で絶大な“強さ”を見せてきた。本部の委員長や財政部長など要職を務めた幹部経験者は、ほとんどが教頭や校長職に昇任。「組合幹部が出世コースで、組合ににらまれると、出世の芽がなくなる」とも批判された。
校長・教頭人事は「筆記試問」「口頭試問」と呼ばれる県教委の試験で決まることになっているが、試験で誰が何点だったのかは、当事者にも非公表。県教委関係者によると、義務教育課の課長と複数の管理主事らだけが総得点を把握する仕組みで、管理主事には、山教組幹部経験者が入ることが多いという。
最終的に試験結果を決めるのはトップの教育長と教育委員会で、口頭試問の際には、教育委員が面接官になるなどのチェック体制もある。しかし、教育長は通常、小中学校には詳しくない高校教員出身で、口頭試問でも教育委員には受験者の名前すら、明かされない。“合格者”決定はブラックボックスの中で行われているも同然だ。
県教委は「人事で山教組からの介入や影響はない」と強調するが、山教組の選挙資金集め問題では県教委自身も、「関係者への処分が甘い」などとして、文部科学省から再三指摘を受けた経緯がある。
「教育現場を牛耳っている」「政治的中立を逸脱している」と批判を受けている山教組。「選挙資金集めで罰金刑を受けた人物を厚遇することで、組織力は守られる。県教委は、それを助けたことになる」。今回の人事について、県政関係者は厳しく批判している。(菅原慎太郎)