北教組違法献金:2被告、起訴内容認める 組合員に不信感も /北海道

北教組違法献金:2被告、起訴内容認める 組合員に不信感も /北海道
2010年5月20日10時47分配信 毎日新聞

 ◇「執行部の説明ない」
 北海道教職員組合(北教組)による小林千代美議員側への不正献金事件は、初公判で2被告が起訴事実を全面的に認め、それぞれ即日結審した。当初は「不当弾圧だ」と検察側との全面対決の姿勢を見せていた北教組側が、一転して資金提供を認めたことに対し「執行部から説明がない」と不信感を募らせる北教組の現役組合員やOBもいる。
 道央の小学校教諭の男性組合員(46)は、北教組委員長代理の長田秀樹被告(50)が違法献金を認めたことを「当初は否定していたので、ショックといえばショック」と受け止める。
 長田被告は、献金の原資は「対策費」だったとしたが、それを裏付ける会計帳簿は「どこにあるか分からない」と弁明した。「組合費をストックしていたのはしっくりこないし、我々は選挙対策で組合費を払っているわけではない。今後も世間に言えぬ使い方を続けるなら組合費を払いたくない。(帳簿は)やばいと思ったから隠したのでは」と不信感をあらわにした。
 札幌市の小学校教諭の男性組合員(51)も、北教組側の対応に納得していない。「組合として民主党を応援するのに反対ではないがルールを守らなかったのは残念。(政党支部への献金など)正しいルートで応援すればよかった」と指摘しつつ「執行部から説明がなく失望している。今後もきちんとした説明はないだろう」と憤る。
 一方、恵庭市の元小学校教諭で組合員だった男性(61)は「北教組は教育環境の改善に向けて良い活動もしてきた。今回の事件で北教組のすべてがおかしい、という印象を持たれるのは残念」と、失った信頼の大きさを懸念する。
 また事件をきっかけに道教委が乗り出した組合員の活動調査について、旭川市の元中学校教諭の元男性組合員(61)は「今回の事件に一般の組合員は関係ない。道教委が組合員の活動を細かく調査しているのは悪乗りだ」と批判。「組合活動が弱体化するのを心配している」と顔を曇らせた。【山田泰雄、木村光則、水戸健一】
 ◇辞職不可避の見方 小林議員めぐり民主道連
 2被告が起訴内容を認め、有罪判決が確定的になったことで、民主党道連内では小林千代美衆院議員(道5区)の議員辞職は不可避との見方が広がる。
 民主党北海道第5区総支部幹事長の勝部賢志道議は「違法献金を認めて刑が確定すれば、重い事実と受け止めないといけない」と、進退問題への影響は大きいとの考えを示す。同党の中堅道議も「(献金は)政治家の資金として提供されたもので、責任を明確にしないといけないと小林さんも思っている」と指摘する。
 小林氏を巡っては、別の陣営選対幹部も札幌地裁で公職選挙法違反の有罪判決を受け控訴中で、禁固以上の刑が確定して連座制が適用された場合、失職するという事情もある。小林氏は19日、「今後の司法の判断を尊重したい」とコメントしており、北教組事件の札幌地裁判決(6月9日と14日)などを踏まえ進退を判断するとみられる。
 公選法の規定では、小林氏が今国会の閉会日(会期延長がなければ6月16日)までに辞職した場合、道5区補選は今夏の参院選と同日の選挙となる。国会閉会後〜9月15日の辞職なら、補選は10月24日。小林氏の辞職が党のイメージ低下につながりかねないこともあり、民主党道連幹部は「参院選と同日となる(国会会期中の)時期の辞職はない」とみている。【岸川弘明、円谷美晶】

5月20日朝刊

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする