<東京医科大>不祥事背景に教授対立…第三者委が可能性指摘

<東京医科大>不祥事背景に教授対立…第三者委が可能性指摘
2010年7月13日22時4分配信 毎日新聞

 生体肝移植の手術後短期間で患者が死亡する事例が相次ぐなど、不祥事が続いた東京医科大(東京都新宿区)の組織運営を検証していた第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)は13日、手術を担当した第5外科の主任教授と安全管理室長を務めていた麻酔科科長の教授(いずれも当時)の対立などが背景にあった可能性を指摘する報告書を公表した。

 報告書によると、同大八王子医療センター(八王子市)の第5外科は00〜07年、52件の生体肝移植を実施。手術後1年の生存率は全国平均が約80%なのに、同センターは約60%と大幅に低かった。しかし、同センターは患者側に全国平均と同じ生存率だとうその説明を行い、手術に同意させていたという。

 第5外科の主任教授は、手術の実質的な責任者に自分の後任と考えていた助教授(当時)を指名した。

 助教授は京大の医師らの指導を受けながら手術を行っていたが、手術後に短期間での死亡例が相次いだことが問題化。京大の医師は、助教授を交代させることを主任教授に進言したが、後輩の育成を重視した主任教授は応じなかったという。

 さらに報告書は、一部の医師から移植手術の中断を相談された麻酔科の教授が「放っておけ。そのうち墓穴を掘るから」と発言し、事態を放置した−−とする証言を掲載。背景として、08年に予定されていたセンター長選挙に、主任教授と麻酔科教授の双方が立候補を検討していたことを挙げ、2人の対立が問題解決を遅らせた可能性を指摘した。

 第三者委員会は改革案として、人事権など主任教授への権限集中を見直すため、教育・研究のための大学組織と診療を行う病院組織の分離▽外部有識者による再生委員会の設置−−などを提言した。【佐々木洋】

—-

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする