教職員処分最悪ペース 盗撮・傷害など既に6件
河北新報 2010年10月21日(木)9時57分配信
教職員の不祥事が後を絶たない。19日現在、本年度の宮城県教委の懲戒処分件数は6件。過去5年間で最悪のペースで推移している。不祥事の内容は、公衆便所での盗撮など「人を育てる教育者としてあるまじき行為」(県教委)が目立ち、処分レベルも最も重い「免職」が最多。止まらぬ異常事態に、県教委は対策に頭を痛めている。
県教委によると、4〜9月の懲戒処分状況は表の通り。監督責任を問われた上司3人を含む9人が処分を受けた。
現行の懲戒基準適用後の処分状況は2006年度11件(11人)、07年度9件(9人)、08年度10件(11人)、09年度11件(12人)。本年度は、刑事事件を起こして逮捕された教職員4人が現在「処分待ち」になっており、現行制度では過去最多となる可能性が大きい。
件数の多さに加え、中身の悪質さも県教委を悩ませている。本年度の不祥事は傷害、窃盗、着服など、すべて故意によるものだった。県教委は「教壇に立つ以前の問題であり、大多数のまじめな教員を冒とくする行為だ」と指弾する。
県教委は5月末、臨時の市町村教育長・公立学校長会議を急きょ開催。出席者約600人に服務規律の徹底を求めた。事実上の「非常事態宣言」だったにもかかわらず、その後も不祥事は続く。
9月、古川工高の実習助手が県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕。宮城農高の非常勤講師は10月12日に同条例違反で、4日後の16日には県立名取支援学校の教諭が傷害容疑でそれぞれ逮捕。わずか1カ月間に逮捕者が3人も出た。
県教委は22日に開く定例教育委員会で、教職員の処分を審議対象とする。毎月1回開かれる委員会で処分が議題に上らなかったのは、最近では数えるほど。関係者は「処分議案が恒例になりつつある」と嘆いた。
県教委教職員課は「粘り強く訴えていくしかない。教職員一人一人が危機意識を共有し、互いに襟を正していく姿勢が重要だ」と危機管理の徹底を呼び掛けている。