<損害賠償>わいせつ行為受け娘が自殺 両親提訴 高松地裁
毎日新聞 2011年1月13日(木)10時22分配信
母校の香川県立高校の男性教諭(50歳代)からわいせつ行為を受けたことを苦に大学院生の娘(当時22歳)が自殺して精神的苦痛を受けたとして、高松市の両親が12日、同県と教諭を相手取って4000万円の損害賠償を求める訴訟を高松地裁に起こした。県教委は、女性と示談が成立したことなどから教諭を懲戒処分にせず、08年6月に「軽率な行為があった」として文書訓告処分にしていた。
訴状によると女性は06年夏、大学の卒論の調査のため母校を訪れ、教諭と打ち合わせで何度か会ううち、校内の個室などで強制的にわいせつ行為を受けるようになった。08年3月に行為を受けた際、中学時代の恩師に助けを求め問題が発覚。女性は同年4月、県警に強制わいせつ容疑で刑事告訴、県教委に処分の申し立てもしたが、翌月、教諭が250万円を支払うことで示談が成立した。
その後、女性は精神的に不安定になり、同年7月にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、10月に京都市内の自宅マンションから飛び降り自殺した。訴状では「示談成立時に予想できなかった精神的苦痛について後日、損害賠償を請求できる」などとしている。
原告代理人の小林正則弁護士は「遺族は現職を続ける教諭や県の責任を明らかにしようと提訴に踏み切った」と話した。県教委は「訴状の内容を見て対応する」とした。【中村好見】