ボランティア支援員の児童わいせつ多発 善意装い…学校も苦慮
産経新聞 2011年2月1日(火)13時8分配信
小学校の行事などで教員を手伝うボランティアの支援員が、児童に対するわいせつ行為で逮捕される事件が相次ぎ、教育現場が対応に苦慮している。兵庫県では昨年7月以降、神戸市と西宮市で支援員の犯行が発覚。いずれも児童へのわいせつ行為が目的で支援員に応募していたことも判明した。教員の負担軽減など教育現場の“助っ人”として活躍しているのは確かだが、善意の裏に隠されたわいせつ犯の真意を見抜くのは難しいのが現状だ。
■バレぬ犯行、ネット捜査で発覚
「すきがあればわいせつ行為をしようと思い、ボランティアに応募した」。
昨年7月、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で県警に逮捕された神戸市灘区の無職男(48)は、こう供述したという。
男は、神戸市立学校の支援員として登録し、教室内や学校のトイレなどで男児ばかりをねらい、わいせつ行為を重ねていたという。その後の捜査で、男は複数の学校で犯行を重ね、被害児童は10人以上にのぼることが判明。いずれの学校も被害に気がつかず、男が男児らのわいせつ画像をインターネット上でやり取りしていたことから犯行が発覚した。
捜査幹部は「知的障害児が主に狙われており、ネット捜査がなければ被害は表面化しなかったかもしれない」と指摘する。
昨年末には西宮市でも、わいせつ目的で男児に暴行した同市内の男(40)が逮捕された。小学校のボランティアとして自然学校に同行。その際に知り合った複数の男児を後日、自宅に誘い込み、体をロープで縛り付けるなどしたうえ、わいせつ画像の撮影もしていた。
■欠かせぬ支援員
教育現場では、住民との交流や教員の負担軽減のため、ボランティアが欠かせないのが現状だ。神戸市教委によると、教職を目指す大学生や地域住民らを対象に募集しており、各学校が独自に募るケースも多いという。悪用されたのは、支援学級で障害児らをサポートする「特別支援ボランティア」。同市内の小中学校で年間約千人が活動している。
西宮市でも、市教委だけでなく、学校が独自にボランティアの経験者や大学生を募集。逮捕された男が登録していた自然学校については、毎年市内の小学校全40校で1クラス2人ずつを採用しているという。
市教委の担当者は「地域によって応募にばらつきがあるし、特に宿泊を伴う場合は、支援員との日程調整が難しく、多数募集する必要がある」と話す。
■再発防止へ基準
神戸市教委は事件が発覚したのを受け、ボランティアを採用する際には、管理職を含めて複数で面接する▽過去のボランティア歴と動機を尋ねる▽人物をみて採用を断る場合もあり得る-などの基準を設け再発防止に取り組んでいる。
また、携帯電話のカメラによるわいせつ画像を撮られることを防ぐため、ボランティアの活動中は持ち物を預かるほか、常に教職員と一緒に行動することを徹底しているという。
西宮市も、ボランティア登録の際、面接の義務づけや、履歴書に前科前歴を問う項目を設けるなどの対応策を検討しているが、「選考の段階でわいせつ目的がないか見破るのは極めて難しい」と指摘する。
ただ、支援員のほとんどが献身的に活動している現状では、担当者は「一握りの支援員の行為で志願者のすべてを疑ってかかるのでは成り立たない」と打ち明ける。