預け金流用、銀座で飲食 日大教授「業者持ちと思った」
2011年7月30日3時0分 朝日新聞
関東を中心とした約60大学・短大の教授らによる研究費の不正経理疑惑で、日本大学の男性教授3人が東京・銀座のクラブなどで、出入り業者から「預け金」による接待を受けていた疑いがあることがわかった。業者の関係者は「預け金を飲食費にあてた」と証言。一方、3教授は「業者側の費用による接待と思っていた」と話し、預け金の存在も否定している。
実験器具などを大学に納入している精密機器卸会社(本社・東京都)の取引明細によると、同社は3教授の研究室と、それぞれ年間数千万〜数百万円の実験機器の保守契約を結んでいた。明細では、年度内に使い切らなかった保守費は翌年度以降に繰り越され、プールされていた。支出では、資料の製本代や学会への寄付金など、保守目的以外のものもあった。
また、3教授は朝日新聞の取材に対し、それぞれこの業者から東京・銀座や赤坂のクラブなどで複数回にわたって接待を受けていたことを認めた。業者の社員が個人的に作っていたメモによると、1回あたりの飲食費は数万円で、いずれも各教授の預け金でまかなわれていた。業者の関係者は「教授から『今年はほとんどメンテナンスがなかったし、(保守費で)もうかってるだろ』と言われることもあり、保守費から出していいだろうと思った」と話している。
これに対し、3教授は預け金の存在自体を否定。1人は「数回、赤坂の店で接待は受けたが、代金が保守費から支払われていたなんて全く知らない」、別の1人は「実験装置を買ったので、その御礼か何かの接待と思った」、もう1人は「接待費が保守費から出ているとは寝耳に水。今後は一切業者の接待は受けない」と話している。(峯俊一平、泗水康信)