民意反映へ役割自問 京都の府市教育委員
京都新聞 2011年12月2日(金)8時59分配信
大阪市長選と大阪府知事選で教育基本条例案を公約に掲げた「大阪維新の会」代表の橋下徹氏らが圧勝し、「教育委員が民意を反映していない」として、教育行政への政治関与を明記した初の条例の制定に向けた動きが加速するとみられる。条例案に全国的な関心が高まる中で、京都の教育委員の間から、自らの役割を問い直す声が上がっている。
■大阪・教育基本条例制定へ加速
条例案には、知事が設定した教育目標の実現の責務を果たさない教育委員の罷免や教員の分限免職の強化などが盛り込まれている。大阪府の教育委員6人全員が反発し、市議会では否決、府議会では継続審議となった。
■「行政と違う視点を」
ダブル選投開票日の11月27日、京都市教育委員会の藤原勝紀委員長は東京で会合に出席していた。大阪の選挙と条例案について質問され、「教育への関心の高さをひしひしと感じた」という。「これまで以上に学校現場に足を運び、学校と教育委員会、保護者が緊張感ある連携を進めなければ」と話す。
京都市内で11月中旬に開かれた府内の教育委員の研修会で、与謝野町の今西藤美委員は「このやり方で実りある意見交換になるのか」と疑問を投げ掛けた。委員の発言が地域の取り組み報告にとどまったためで、「学校現場の意見や保護者の思いを共有する機会であるべきなのに」と不満を募らせた。
また、10月中旬、府教委の定例教育委員会は、教員の懲戒処分についての事務局案を修正し、可決した。近年、事務局案を修正したケースはなく、教育委員の存在感を示した格好だ。
府教委の大橋通夫委員長は「府民に近い存在になるべき」として保護者や住民との意見交換を強化したいという。「多様な分野から選ばれた委員で、行政職員とは違う視点を府民サイドの議論から引き出したい」と強調する。