函南中柔道部員死亡:必修化控え「教育界全体で考えて」 母、再発防止訴え /静岡

函南中柔道部員死亡:必修化控え「教育界全体で考えて」 母、再発防止訴え /静岡
毎日新聞 2012年1月12日(木)12時36分配信

 函南町立函南中学校柔道部で10年、1年生の小川礼於(れお)君(当時12歳)が倒れて脳挫傷で死亡した事故で、三島署は11日、柔道部顧問の男性教諭(45)を業務上過失致死容疑で書類送検した。学校側が安全管理を怠ったと捜査の徹底を求めていた礼於君の母、智恵美さん(40)は、4月から中学で武道の授業が必修化されるのを前に「函南中学だけでなく、教育界全体で柔道事故について考えてほしい。礼於の死を無駄にしないで」と訴えた。
 男性教諭は、礼於君が約2カ月前にも頭を打ち入院したことがあると知りながら10年6月27日、初心者で受け身が十分でない礼於君を投げ込み練習に参加させてけがをさせ、同7月6日に死亡させたとされる。智恵美さんは校長の監督責任も指摘したが、同署は校長の刑事責任は問えないと判断した。
 函南中学は中学総体の県大会で毎年8強入りする強豪校だった。入部した礼於君以外の同級生5人は全員経験者。智恵美さんは「礼於は『柔道部で頑張りたい』と張り切っていた」と振り返る。
 部活とは別の柔道教室で自主練習中の同年5月8日、礼於君は投げられ急性硬膜下血腫で約1週間入院した。医師から「激しい運動は控えて」と言われ、マットを敷くなどの条件で練習の再開が認められた。
 事故後、学校側から礼於君の練習は別メニューで、マットも敷いていたと説明された。智恵美さんは「気を使ってもらったのはわかるが、結果が全て。もう礼於は戻ってこない」と声を落とす。
 事故を受け、函南町教委の矢田長春教育長は「二度と若い命が失われることのないよう、安全確保のため一層の努力を続けたい。書類送検に関しては、今後の状況の推移を見守り対応する」と文書でコメントした。【平塚雄太】

1月12日朝刊

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