金正日総書記の追悼大会に生徒動員 総連「正恩体制シフト」鮮明

金正日総書記の追悼大会に生徒動員 総連「正恩体制シフト」鮮明
産経新聞 2012年1月10日(火)7時55分配信

【水平垂直】

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏への忠誠と愛国教育推進を朝鮮学校校長が宣誓していた事実は、正恩体制に移行し今後、朝鮮学校でいっそう思想教育が強まるサインといえるものだ。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が学校敷地内で開いた金正日総書記の追悼大会に、生徒を動員していた詳細な状況も判明。8日の正恩氏の「誕生日」に合わせて献金も募っていたとされ、朝鮮総連の正恩体制シフトが鮮明になった。(桜井紀雄)

 ◆「誕生日」に献金

 昨年12月29日に東京都北区の東京朝鮮中高級学校(中学高校)講堂で開かれた追悼大会。東京都や神奈川、茨城両県の朝鮮高級学校の生徒のほぼ全員が動員されたほか、東京在住の初中級学校(小・中学校)の児童・生徒まで参加させられた。

 大阪府でも大阪朝鮮高級学校講堂で追悼大会が開かれ、生徒50人余りの参加が確認された。北海道や宮城、広島両県でも生徒の動員状況が明らかになった。

 北朝鮮の民主化に取り組むNPO「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)が朝鮮総連内部から得た情報によると、追悼大会で生徒であることを際立たせないよう生徒らは私服着用を命じられたという。学校敷地の政治利用も目立たせないため、開催場所の講堂を「朝鮮文化会館」と言い換えられた。

 今年に入ってからも朝鮮総連は正恩氏の「誕生日」に合わせ、祝電や献金募集を組織員に指示したとされる。北朝鮮に送られたかは確認されていないが、本国で大規模な慶祝行事が自粛されたのと比べて不自然なほど温度差がある。

 ◆機密化でこじれ

 RENK代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は、北朝鮮が金総書記死去後、正恩氏の母、故高英姫(コ・ヨンヒ)氏が在日朝鮮人だった出自を「最高機密」に指定したことと関係があるとみる。血統を重んじる金政権にとって母の出自は不都合で、出自をよく知る朝鮮総連との関係見直しにも着手したとされる。

 朝鮮学校校長が忠誠を宣誓した昨夏、朝鮮総連内で3代世襲を認めることへの反発がみられたが、一部には在日出身者が「国母」となることへの期待もあっただけに機密化方針でさらなる動揺が広がったという。

 李教授は「朝鮮総連は、北朝鮮本国から突き放されないように、本国とさらなる一体化を進めようとしているのだろう。その結果、朝鮮学校でも3代世襲に基づく思想教育強化に向かうことになる」と分析する。

 ◆本国も援護

 北朝鮮も呼応する動きをみせた。北朝鮮は1日、朝鮮総連に「反共和国、反総連策動が日増しに悪辣(あくらつ)になる中、愛国運動を力強く展開した」と祝電を送った。3日には、朝鮮総連幹部の弔問を妨げたとして日本を非難する論評を掲げるなど、朝鮮総連を擁護するポーズを示している。

 李教授は「資金源になってきた朝鮮総連を完全に切り離してしまうわけにはいかない。経済難の中、付かず離れずの関係を続け、一滴でも多く資金を搾り取ろうとするだろう」と語る。

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