正規教員も未交付 労働条件通知書
琉球新報 2012年5月19日(土)10時5分配信
県教育庁(大城浩教育長)が、県内の公立小中高校の正規教員に、労働基準法で交付が義務付けられ、労働時間などを明示する労働条件通知書を交付していなかったことが18日、分かった。臨時・非常勤教員に対して同通知書が交付されていなかったことが明らかになっているが、正規教員についても労働基準法に抵触している状態となっていた。
今後、県教育庁義務教育課と県立学校教育課は本年度に採用した570人の正規教員に同通知書を交付する方針だ。交付時期は検討中としている。正規教員に対しての同通知書がいつから未交付だったかは両課ともに調査中という。交付対象者について、本年度採用以外の正規教員なども含めるかも検討中という。
正規教員へ同通知書が未交付だった理由について両課は「認識不足の面があったかもしれない。対象人数や対象となる教員についても検討して、しっかりと対応していきたい」と述べた。
県人事委員会は3月に県立学校教育課に臨時・非常勤教員に同通知書を交付するよう指摘していたが、正規教員に関しては指摘していなかった。同委員会は「認識不足の面があった。今後しっかりと指摘していく」と述べた。
正規教員への同通知書の交付について、文部科学省と厚生労働省は「地方公務員法の定める適用除外規定では、(労働条件通知書交付の根拠となる)労基法第15条を除外することになっていない」とし、通知書交付の必要性があるとの認識を示している。
沖縄大学の春田吉備彦教授(労働法)は「教師は『やりがい』にかすめとられて、どこまでが業務かということがあいまい。聖職とされがちな教員といえど、働くという観点から見ると労働者だ。労働者の権利と義務を明確にする意味でも、同通知書の交付は必要だ」と話した。(当間詩朗)