中2自殺 第三者調査委員会が始動 委員「今後のモデルに」 滋賀
産経新聞 2012年8月29日(水)7時55分配信
■越市長「徹底解明を」
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市が設置した外部有識者による第三者調査委員会の初会合が25日、2回目の会合が26日に、それぞれ市役所であり、男子生徒へのいじめの実態を調べるための調査がスタートした。調査委の設置は全国的に注目を集めており、5人の委員は「今後のモデルにしたい」などと決意を示した。3回目の会合は9月17日。
25日の初会合で委員長に選ばれた元裁判官で弁護士(大阪弁護士会)の横山巌氏は「法律家の立場で現場に足を運んで調査し、証拠に基づいていじめの実態を解明したい」と強調。次回会合までに横山氏ら弁護士の委員が中心となり事実認定を進める考えを示した。
副委員長に選ばれた弁護士(兵庫県弁護士会)の渡部吉泰氏は、11人の死者を出した明石歩道橋事故の遺族側代理人を務めた。過去のさまざまな事故で、第三者による調査委が設置されたが、必ずしも十分な調査が行われていなかったとし、「今回の調査委を今後のモデルにしたい」と話した。
ほかの委員からも意欲的な言葉が多く出された。「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家で法政大教授の尾木直樹氏は「調査委を通じて子供を励まし、保護者に安心感を持っていただけるようになればベスト」としたうえで、報告書を作成するだけでなく、真実解明に向けた意気込みを示した。
和歌山大教授の松浦善満氏(臨床教育社会学)は、愛知県であった別のいじめ事件に専門家として調査に関わった経験を生かしたいと説明したうえで、「みんなの力で少しでも事実を把握して、新しくいじめが起こらないよう防止策を提言したい」とした。
京都教育大教育支援センター教授の桶谷守氏は「亡くなった命がどれだけ大事かをしっかりと考えていかなければならない。できるかぎり踏み込んで調査するのが私たちの役割」と強調した。
一方、市や市教委から調査委に提出された資料は段ボール箱で10箱以上と膨大。委員からは「調査に時間がかかる」との声も出ている。
越直美市長は初会合後、報道陣に「徹底した真相解明をしてほしいというのが一番。そのために調査期間が延びることは仕方がない」と話した。
■知事、調査委に期待感
大津市の中2男子自殺問題で、市が設置した第三者調査委員会が25日から調査を始めたことを受け、嘉田由紀子知事は28日、「いじめを受けた子供を持つ全国の親御さんから、事実を解明してほしいとの願いがうねりとなっている」と強調し、「専門家の力をいただきながら、社会的に納得のいく報告を出してほしい」と期待感を示した。
この日の定例記者会見で、明らかにした。
一方、調査委の5人の委員を市側の人選だけでなく、遺族側からの推薦で選任したことについて、「画期的な判断で大津市に敬意を表したい」と述べた。
—–
30件超、捜査対象に 大津いじめ、加害行為で県警
京都新聞 2012年8月29日(水)9時19分配信
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、滋賀県警は、生徒をいじめていたとされる同級生3人の行為について30件以上を捜査対象に上げ、犯罪事実として認定できるかどうか検討を進めていることが28日、捜査関係者への取材で分かった。
県警は近く同級生3人から事情を聴く方針。すでに、当時同学年だった在校生約300人の聞き取りをほぼ終えており、いじめの目撃証言や同級生の供述を精査した上、今秋にも暴行容疑などでの立件を最終判断する。
捜査関係者によると、県警は全校アンケートの回答や遺族から指摘を受けた男子生徒の被害内容を基に、同級生3人が関与した可能性がある加害行為を「トイレに連れ込み連日、暴行した」「万引を強要していた」など30件以上に分類した。これらの行為が、告訴を受けている暴行や脅迫、窃盗など計六つの犯罪容疑のいずれかに該当するのかどうか、慎重に確認を進めているという。
県警は、昨年9月の体育大会で同級生3人が男子生徒を鉢巻きで後ろ手に縛るなどした暴行容疑で、7月11日に市教委と学校を家宅捜索。この暴行を目撃した生徒の実況見分も行っている。一方、同級生3人は生徒の遺族が起こした民事訴訟で、「いじめではなく遊びだった」などと主張している。
—–
警察にも被害一部隠す 大津いじめ・教師暴行
京都新聞 2012年8月29日(水)9時29分配信
大津市の中2男子生徒が自殺した中学校で、生徒をいじめていたとされる同級生が担任の女性教師に暴行し重傷を負わせた問題で、学校側が大津署に経緯を説明した際、同級生の暴力や教師のけがについて、事実の一部しか伝えていなかったことが28日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、今年5月に女性教師が暴行の被害を受けた後、学校側は大津署に経緯を説明した。その際、実際は女性教師が同級生から殴られたり蹴られたりする暴行を受け、計5カ所を負傷していたにも関わらず、学校の担当者は「帰宅したがる同級生の蹴り上げた足が、制止しようとした教師に当たった」と説明。小指骨折のけがを負ったものの、被害届は出さない方針を伝えたという。
関係者の話では、大津署は学校側の説明を踏まえ、同級生の行為は故意の暴行ではなく過失傷害にあたるとみて、学校側が求める穏便な対応に理解を示した、という。
この問題では、市教委が今月9日に報道機関に行った説明でも、「暴れる生徒を止めようとして教師がけがをした」として、小指の負傷しか明らかにしていなかった。
市教委は「被害届を出さない前提で警察に報告した。小指以外のけがについてどの程度詳しく話したか定かではない」としている。
——
大津・中2自殺、窃盗も視野に視野に捜査 今週中にも同級生聴取
産経新聞 2012年8月29日(水)12時35分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、滋賀県警が、学校や市教委を家宅捜査した暴行容疑以外に、窃盗容疑での立件を視野に、いじめをしていたとされる同級生3人のうち2人を捜査していることが28日、捜査関係者への取材でわかった。今週中にも同級生を任意で事情聴取し、確認する。
男子生徒の関係者によると、自殺する3日前の昨年10月8日、同級生のうち2人が男子生徒の自室を訪れ、部屋を荒らされたうえ、時計や財布がなくなっていた。この2日後の自殺前日、男子生徒は「もうおれ死ぬわ」とのメールを部屋を荒らした2人のうちの1人に送ったとされる。
捜査関係者によると、学校などへの捜索容疑では、昨年9月の体育大会で、同級生3人が男子生徒の両手をはちまきで縛り、口に粘着テープを貼ったとしていたが、県警は、男子生徒の自室を荒らした同級生2人の行為についても、窃盗容疑での立件が可能かどうか慎重に調べている。
県警は、中学校が実施したアンケートでいじめを目撃したと回答した男子生徒と同学年の生徒ら約100人の聴取を7月26日に始め、ほぼ終了。直接いじめを目撃した生徒を学校などに呼び、いじめの実態を実況見分などで検証した。加害側の同級生3人の聴取は最後に実施する予定で、暴行とともにほかの容疑について直接確認する。
男子生徒の父親(47)が7月18日、暴行、恐喝、強要、窃盗、脅迫、器物損壊の6つの罪で県警に刑事告訴し、受理されている。
—–
各校にいじめ対策担当 中2自殺で大津市教委検討委が初会合
京都新聞 2012年8月29日(水)22時49分配信
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教育委員会は29日、いじめの未然防止や対応策を探る検討委員会の初会合を開いた。いじめへの指導面の対応を中心に検証していくことを確認し、各学校でいじめ対策担当者を選任して連絡体制を強化するなどの取り組みをまとめた「いじめを許さない学校づくり宣言」も報告した。
市教委と県教委の職員計15人が出席。委員長の澤村憲次教育長は、教育長室で襲撃された際のけがで入院中のため欠席した。
生徒のいじめをめぐっては、市教委と学校の情報の行き違いが問題となった。この教訓を踏まえ、いじめが激しくなったとされる昨年の夏休み以降を焦点に、指導面の課題を検証し、昨年3月に作成した「いじめ対応マニュアル」の内容を見直す。
「宣言」では、いじめの疑いがあった場合には対策委員会を開くことや、保護者や地域と十分に情報共有していくことを盛り込んでいる。9月3日の始業式に、市内の全小中学生約3万人と幼稚園の保護者に配布する。
同時並行で進む第三者調査委員会の提言を踏まえ、来年1月に学校現場で活用できる最終報告書をまとめる方針。