教師の「レイプするなら成人を」発言告発、17歳少女が虐待批判の旗手に

教師の「レイプするなら成人を」発言告発、17歳少女が虐待批判の旗手に
AFPBB News 2021/6/4(金) 17:10配信

【6月4日 AFP】17歳のアイン・フスニザ・サイフル・ニザム(Ain Husniza Saiful Nizam)さんは、どこにでもいる普通の女子高生だった。しかし、体育の授業で教師がレイプを冗談の種にしたことを、動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」で非難したことをきっかけに、マレーシアにおけるスクールハラスメント告発の旗手となった。

 アインさんのティックトック動画に触発された何千人もの生徒たちが、学校で教師や他の生徒から精神的・身体的な嫌がらせを受けた悲惨な体験を告白した。大きな反響を呼んだことに刺激されたアインさんは、オンラインキャンペーン「#MakeSchoolASaferPlace(学校を安全な場所にしよう)」を立ち上げた。

 一方、ソーシャルメディアでは激しい反発も起こった。レイプしてやるという脅迫を受け、退学処分の警告も届いた。

「この問題について話したら悪意をぶつけられたけれど、なぜか分からない」とアインさんはAFPに語った。「学校をもっと安全な場所にしようというだけなのに。どんな議論の余地があるというのだろう」

 ネガティブな反応は、マレーシアの教育制度にはびこる少女に対する不当な扱いと闘うというアインさんの決意を強くしただけだった。「学校での虐待の連鎖をそのままにはできない」

 すでに再生回数180万回を超えた動画をアインさんが撮影したのは、今年4月だった。アインさんは、男女混合の体育の授業でハラスメントを防ぐ方法について話し合っていた際の男性教師の、おそらく冗談のつもりだったのであろう発言にショックを受けた。

 この教師は、未成年者を性的虐待から守る法律があると説明し、レイプをしたい男子生徒は、18歳以上の女性を狙うようにと言ったのだった。

「先生は本当にそう言い、女子は静まり返った」と動画でアインさんは語った。「でも男子は、誰かをレイプすることについての冗談が最高に面白いかのように笑っていた」

■有害な文化

 アインさんは、動画が痛いところをついていたのだろうと考えている。なぜならば、虐待は「マレーシア中の生徒たちが経験していることだからだ」と主張する。「一人の教師の問題だけではなく、教育制度全体の問題だということを証明している」

 市民団体によると、マレーシアでは長年、学校での虐待が問題とされてきた。身体的・言語的ハラスメントの他、イスラム教学校では生理中の女性は礼拝の義務を免除されることから、女子生徒が生理中かどうかを確認する抜き打ち検査で、プライバシーを侵害されたという訴えもある。

 動画公開後、アインさんは安全上の懸念からクアラルンプール郊外にある学校に通うのをやめた。学校からは、退学処分の警告が届いただけだった。「教育関係者たち、権力を持った人たちが、何も気にしていないことは本当にショックだった」とアインさんは話す。

 教育省は、退学処分警告について、出席が一定期間なかったため自動的に作成されたものだと弁明している。

 一方、警察が捜査を開始し、問題の体育教師は異動となるなど、いくつかの対応も取られている。教師に関する調査も行われているが、本人は一切コメントを発表しておらず、名前も公表されていない。

 アインさんは自分の経験について、時々トラウマになっていると感じることがあるものの、他の人たちに声を上げる勇気を与え、大きな変化をもたらすことにつながるだろうと信じている。

「今、私が心から望むのは、大人たちが私の話に耳を傾け、私たち子どものために正しいことをしてくれることだ」とアインさんは語った。

 映像前半はアインさんが投稿した動画の一部、4月23日に撮影されたもの。後半はAFPの取材に応えるアインさん、5月20日撮影。(c)AFPBB News

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