いじめ・体罰問題、義家文科政務官に聞く 出席停止を踏み込み議論/神奈川

いじめ・体罰問題、義家文科政務官に聞く 出席停止を踏み込み議論/神奈川
カナロコ 2013年3月3日(日)17時0分配信

 教育現場のいじめや体罰で若者が命を絶つ事案が相次いでいる。「教育再生」を掲げる安倍政権でこの問題を担当する義家弘介文部科学政務官(衆院16区)に現状認識や対策の方向性を聞いた。

 −いじめはなぜ起こる。

 「子どもは自我の芽生えに伴い、『何でもできるわけではない』と気付く。万能感の喪失を弱い者への攻撃で埋めようとする。子どもの本能的な営みから始まると思っている」

 −学校は、家庭はどう対応すべきか。

 「教育的指導で解決していく初期のいじめと、犯罪に該当するいじめを分けて対応しないといけない。わたしの息子は小学3年生。『それは絶対におかしい』と真剣に伝えれば反省して涙する。初等教育時の対策が重要だ」

 「自己肯定感が欠落したときに、子どものいいところを認め、褒め、伸ばすことが大切。問題はその時点で放置してしまっていること。ここで手を打たないと、悪質ないじめにつながると感じている」

 −法案づくりなどいじめ防止へ向けた取り組みが進んでいる。

 「明らかな犯罪でも、いじめに矮小(わいしょう)化されている。学校や教育委員会は対応しきれていない。事案が起きたときの責任体制を明確にする」

 「犯罪に該当するいじめを行った者には、懲戒としての出席停止を考えている。学校教育法の出席停止は懲戒でなく、ほかの子どもの教育を受ける権利を守るという観点だ。いじめで不登校、転校を余儀なくされる子どもは多いが、いじめを受けた側が教育の権利を奪われる現状はおかしい。踏み込んで議論していく。当然、教育を受けさせる義務を負う保護者にも責任と向き合ってもらわなくてはならない」

 −部活動の指導基準づくりの狙いは。

 「体罰は学校教育法で禁じられている。これは決して覆らない。その上で、許容される指導基準を具体的に示さないと、指導できないという現場の切実な声がある。例えば、桜宮高校ではキャプテンをたたくことでほかの者への見せしめにした。こんなことは絶対に許されないとはっきりさせないといけない」

 −教育委員会の形骸化が指摘されている。

 「常勤者による責任体制の確立が必要だ。非常勤の教育委員が教育行政をリードすることはできない。一方で、一般の立場から選ばれた人が中立的に教育行政に目配りする役割は大事で、諮問機関のような形で意見を反映させていくことを考えている」

 −現場の教諭にアドバイスを。

 「経験上、暴力で子どもは付いてこない。誇りと自信を持って向き合ってほしい。そういう先生を徹底して応援する体制をつくる」

 −子どもたちへ。

 「暴力やいじめから生まれるのは悲しみしかない。加害者はその悲しみを忘れるかもしれない。だが、忘れたまま大人になっていく悲しみもある。そういう人は社会で絶対に通用しない」

 よしいえ・ひろゆき 高校2年のとき暴力事件を起こし、北海道の北星学園余市高校に編入。明治学院大卒業後、同高の教師になり、「ヤンキー先生」として有名になった。横浜市教育委員、教育再生会議担当室長などを務め、2007年参院選で自民党から全国比例で初当選。12年の衆院選で神奈川16区で当選した。41歳。

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