防げ!スクール・セクハラ 表面化は氷山の一角 相談窓口設け対策
2008.7.4 07:55 産経新聞
児童・生徒や保護者から電話相談を受けるSSHP全国ネットワークのメンバー 小、中、高校などの教職員による教え子へのわいせつ行為や、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)が後を絶たない。マッサージと称して体を触られたり、性的なからかいや冗談を言われたり。本来なら、安全にのびのびと過ごせるはずの教育の場で、体や心に深い傷を負う子供たち。あってはならないスクール・セクハラ防止への取り組みが始まっている。(中曽根聖子)
文部科学省によると平成18年度に、わいせつ行為やセクハラで処分を受けた公立学校の教職員は190人に達し、過去最多に迫る勢いだ。わいせつ行為の内容は(1)「体に触る」(57件)(2)「性交」(47件)(3)「接吻」(19件)(4)「盗撮・のぞき」(18件)−などの順で、自校の児童・生徒に対する行為が半数近い。
だが、被害が表面化した事例は氷山の一角にすぎないとみられている。5年前から電話相談を続けるNPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止(SSHP)関東ネットワーク」の代表を務める神奈川大学の入江直子教授(社会教育学)は「深刻なケースは論外だが、児童・生徒が『不快だ』『いやだ』と感じるセクハラは日常的に起こっている可能性もある」と指摘する。
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表ざたになりにくいスクール・セクハラの実態を把握しようと、神奈川県は18年、県立高の全生徒にアンケート調査を実施。その結果、「性的な嫌がらせや冗談などを言われた」(58件)▽「必要もないのに体を触られた」(51件)▽「携帯電話などで性的なメールや画像を送られた」(23件)▽「性的な関係を求められた」(16件)−が目立ち、無理やり押し倒された、後ろから抱きつかれたといった悪質な事例もあった。
事態を重視した県は昨年5月、専用の電話相談窓口を教育局内に設置するなど本格的な対策に乗り出した。教育局人権教育担当の宮代哲彦課長は「学校内でのセクハラは1件たりともあってはならない。被害生徒の救済と問題解決に向けた仕組み作りを急ぎたい」と意気込む。
入江教授によると、セクハラが特に起こりやすいのが運動部。男性教諭がマッサージと称して太ももを触ったり、自分の体をマッサージさせたりするケースが相次ぎ、部活動のコーチに携帯電話で呼び出され、食事や旅行に誘われる事例もあるという。
指導教諭と生徒という圧倒的な力関係の中で、児童・生徒は被害を受けても声をあげにくいのが実情だ。「全国的な強豪校や指導熱心な教諭であればあるほど周囲への遠慮もあって表面化しにくい」と入江教授。
担任の男性教諭が首に手を回したり、肩を触ったりするたびに、精神的に落ち込み、学校に行くのが嫌になった女児もいる。しかし、親が被害を訴えても、「何かの間違い」「そんなつもりはなかった」と、学校側が事実関係を否定するケースがほとんどだという。
関東ネットのメンバーで、学校現場に詳しい公立高教諭、五十嵐とし江さんは「自分の言葉を信じてもらえず、心に傷を負うなど二次被害を受ける生徒も少なくない。たとえ教師に悪気はなく、意図的な行為ではなくとも、不快に思う子供がいることに気づいてほしい」と訴える。
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関東ネットやSSHP全国ネットワークなどは今月、電話相談キャンペーンを実施する。日程は5、6日(午前10時〜午後7時)(電)03・5328・3260▽12、13日(午前10時〜午後7時)(電)06・6995・1355▽19、20日(午前10時〜午後3時)フリーダイアル0120・177・976(スポーツ・セクハラ)。