提訴:信大名誉教授、著作権侵害で学長を 「自著から図や表盗用」 /長野

提訴:信大名誉教授、著作権侵害で学長を 「自著から図や表盗用」 /長野
毎日新聞 2011年7月20日(水)13時16分配信

 自著からリニアモーターの図や表が盗用され、著作権を侵害されたとして、山田一・信州大名誉教授(78)が19日、山沢清人・同大学長を相手取り、山沢学長が書いた書籍からの図や表の削除や、同大ホームページへの謝罪文の掲載などを求める訴えを長野地裁に起こした。
 訴状などによると、山田氏は1959年から信大工学部に勤務し、リニアモーターについて研究。助教授・教授時代の80〜86年に発表した「リニアモータ応用ハンドブック」(工業調査会)などの書籍や論文計5本にリニアモーターの構造の図面や応用例の表を記載した。
 その後、同大工学部の助教授だった山沢学長が89年、リニアモーターについて1章を記述した「メカトロニクスへの招待」(森北出版)を共著で出版した。山田氏は、章に使われた図と表計13点が「(同氏の)図と表と同一である」という。
 一方、学長は章に、参考文献として山田氏の氏名と著書名「リニアモータ応用ハンドブック」「リニアモータとその応用」(電気学会)などを付記。山田氏によると、具体的に図などに注釈はついておらず「山沢学長独自の作成と受け取られる」と著作権の侵害を主張している。
 訴状では学長が出版直後、山田氏に「お許しください」と口頭で謝罪したという。山田氏は「図は削除されたと思っていた」と認識。しかし、今年1月に読者から「どちらの図が先に出されたものか」と指摘があり、未削除に気が付いたという。山田氏は「学長の本は全国の図書館で310冊も所蔵されており、盗用の責任は重大」という。
 山沢学長は信州大を通じて「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【小田中大】

7月20日朝刊

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