館山の中2自殺:息子の無念晴らせず いじめは不明、市教委が説明 父親「悔しい」 /千葉
毎日新聞 2012年9月28日(金)11時24分配信
4年前に館山市の中学2年男子生徒が自殺した事件で、同市教育委員会に「いじめ」との関係について再調査を求めた父親と、同市教委の話し合いが26日夕から、市役所内で行われた。市教委は「小学校時代の担任らから事情を聴いたが、いじめは確認できなかった。4年が経過した現在、再調査でこれ以上の情報を得ることはできない」と説明し、改めて「自殺といじめの関連はわからなかった」とする自殺当初の調査結果を繰り返した。話し合いは4時間45分に及んだが、物別れに終わり、父親は「同じような自殺を防ぐために役立ててほしかったのに悔しい」と反発を強めている。【中島章隆】=一部地域既報
13歳の「無念」が、そこには凝縮されているようだった。自殺した男子生徒の小学校の卒業アルバム。ページをめくると、ところどころに顔の部分を油性ペンで黒く塗りつぶされたり、ナイフのようなもので削り取られた顔写真が並ぶ。
母親が外国人であることなどが原因で、小学校時代からいじめを受けていたとされる男子生徒。「顔を消された子が、いじめていたかどうかはわからない。でも、息子は顔を見たくなかったのでしょう」と父親は言う。
自殺の「直接の引き金」となった可能性があるのは、亡くなる2カ月前、部活の遠征から戻るバスの車内で、他の生徒が「臭い」とスプレーをまいた騒動。だが、父親は「いじめは小学校時代からあった」と見ており、今月20日、市教委に提出した要請書で、小学校時代のいじめについても調査を求めた。
しかし、市教委は「当時の担任らに聞き取り調査をしたが、(本人やほかの生徒から)いじめの訴えや相談はなかった」として「からかいや悪口以外のいじめは確認できなかった」と結論づけた。
「要請書を出してわずか6日。いわば身内の学校関係者からだけ話を聞いて結論を出した。まったく誠意が感じられない。残念で悔しい」。父親はそう言葉を振り絞った。
父親は、実施した校内アンケート結果の開示など、今後も市教委に再調査を求め続けるという。
9月28日朝刊