<iPS臨床問題>森口氏に研究費助成 文科省などが調査へ

<iPS臨床問題>森口氏に研究費助成 文科省などが調査へ
毎日新聞 2012年10月15日(月)20時47分配信

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)の移植を臨床研究として行ったとする森口尚史(ひさし)氏が、国などから複数の研究費の助成を受けていたことが分かった。関係する内閣府や文部科学省、大学は、研究結果の捏造(ねつぞう)の有無や研究費の使途について調査を始めることを決めた。
 最も大きな研究助成は、東京大病院の助教が研究代表者を務める内閣府のプロジェクト。臓器や細胞の凍結保存技術の開発と臨床研究が目的で、期間は11年2月〜14年3月。助成額は計約1億6400万円になる。森口氏はこのプロジェクトを実施するため、同病院特任研究員として雇用されている。iPS細胞を凍結保存して使用時に解凍する技術開発を担当し、毎日新聞の取材に「臨床研究に使ったiPS細胞も、この技術を使って保存した」と説明した。

 調査は内閣府と文科省、日本学術振興会が合同で実施。東大病院も、事実関係を調査するため教員5人でつくるチームを設置した。本人からも聞き取りを行う方針。

 これとは別に文科省は、01〜03年度と04〜05年度、森口氏が研究者の一人として参加した2研究課題に、計約2070万円の科学研究費補助金を学術振興会を通じて助成していた。研究代表者は杏林大と東京大に所属している。両大学が調査を行い、捏造(ねつぞう)などがあれば文科省が研究費の返還を求める。東京医科歯科大も15日、佐藤千史教授が森口氏と共著論文を出していたことを受け、調査委員会を設置した。

 一方、英科学誌ネイチャーの広報担当は15日、同社発行の科学誌サイエンティフィック・リポーツに今年2月と7月に掲載された森口氏の2本の論文について、所属先などに疑惑が生じたとして、調査を行っていることを明らかにした。【野田武、斎藤広子】

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