桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟、手続き再開 両親側、因果関係の認定求める /群馬

桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟、手続き再開 両親側、因果関係の認定求める /群馬
毎日新聞 2012年10月16日(火)13時1分配信

 桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が10年10月に自殺したのは学校側がいじめに適切に対応しなかったためとして、両親が市と県を相手取り、3200万円の損害賠償を求めた訴訟の非公開の弁論準備手続きが15日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。
. 両親は今年7月、訴訟手続きを委任していた弁護士との契約を解除。訴訟は実質的に中断していたが、新しい弁護士に委任し再開にこぎ着けた。
 15日は双方が、裁判所の求釈明に答える準備書面を提出。両親側は過去の判例を引用し、「長期にわたって誹謗(ひぼう)中傷を受けた明子さんの精神的打撃は計り知れない」「暴力を伴わないいじめにより自殺するケースは社会現象としても認められる」と、因果関係の認定を求めた。
 市・県側は、明子さんのクラスが学級崩壊に陥った際の学校の対応について「チームティーチング実施や生活指導担当の教諭がクラスに入るなど、しかるべき対応を取った」と主張した。【塩田彩】
 ◇真実知りたい 自殺から2年、心ない言葉も
 上村明子さん(当時12歳)が桐生市の自宅で自殺してから、今月23日で丸2年。両親は10年12月、市と県の責任を問い提訴。望んでいる証人尋問はいまだ開かれず、周囲から冷たい視線を浴びることもあるが、「アキに何が起こったのか、真実を知りたい」という思いは変わらない。
 遺族は昨年11月、桐生市から栃木県内に引っ越した。桐生市のアパートは明子さんとの思い出が残る部屋。父竜二さん(52)は「本当は出て行きたくなかった」と話す。だが、周囲から「部屋のお払いをしてほしい」と言われたり「金が欲しくて裁判をしている」といううわさがたち、昨年秋ごろから妹(12)が登校を嫌がるようになった。
 母親(43)は、引っ越し後、明子さんと同じ年齢になった妹が楽しそうに修学旅行の思い出を語るのを聞くと、2年前を思い出す。「みんなが『何か変なことしないか』って私のことを見てる気がして、緊張してご飯をあまり食べられなかった」。修学旅行から帰ってきた明子さんは、そう話したという。「ご飯くらい好きなだけ食べればいいのに、それもできなかったなんて」
 両親は今夏、新しい弁護士と委任契約を結んだ。弁護士を代えれば訴訟は長期化し金銭的負担も増えるが、竜二さんは「アキは言葉の暴力で殺された。それを認めてもらうまで裁判をやめるつもりはない」と話した。【塩田彩】
10月16日朝刊

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