「優秀な成績収めた」 長崎県教委、体罰した部活顧問の名前挙げ表彰
朝日新聞デジタル 2023/4/6(木) 20:30配信
部員への体罰が明らかになった長崎市の私立瓊浦(けいほ)高校男子バドミントン部について、長崎県教育委員会は2月の県スポーツ表彰の際、体罰をした顧問の名前を挙げて「優秀な成績を収めた」として表彰していたことが分かった。
瓊浦高男子バドミントン部では昨年2月、顧問を務める男性教諭が部員2人に対し、尻や太ももを蹴ったり、髪の毛を引っ張ったりした。教諭は「部員を鼓舞するためだった」と体罰を認めており、同校は昨年12月12日付で懲戒処分にした。同部は昨年7月にあった全国高校総体の団体で優勝しており、この教諭が顧問を務めていた。同校は「プライバシーの問題がある」として懲戒処分の内容を明らかにしていない。
高校総体の結果を受けて県教委は今年2月、スポーツの発展に貢献した団体をたたえる県スポーツ表彰で、体罰をした教諭の名前を明示し同部を選出した。
県教委の担当者は、取材に「あくまでも選手をたたえる意図。例年監督名を出しており、体罰を容認しているわけではない」と回答。他県の団体表彰では指導者名を出していない事例があることも踏まえて「今後の表記を検討する」としている。
長崎市の私立瓊浦(けいほ)高の男子バドミントン部や野球部で監督らによる体罰や暴言があった問題で、19日に学校に体罰アンケートの記載を求められた生徒から「担任に『(加害教職員を)おとしめるようなことは書くな』と言われた」との声や、「体罰についてだけ回答するように言われた」との声が出ていることが関係者への取材で分かった。関係者からは「本当に事実究明や再発防止につながるのか」との懸念が上がっている。
関係者や学校によると、男子バドミントン部や野球部での体罰などを受け、19日に全校生徒を対象に体罰に関するアンケートを実施。4月以降に体罰を受けたかや時期、場面、場所、内容、負傷内容などを尋ね、体罰以外の不適切行為や暴言について直接尋ねる項目はなかった。
関係者によると、実施の際に担任が特定の加害教職員の名を挙げて「おとしめるようなことは書くな」との趣旨の発言をしたり、別の担任が「体に直接触れられたことだけを書くように」などと指示をしたりしたという。
校内では今回のアンケート前から、野球部顧問に無断で寮の部屋に入られたり私物を触られたりするなど、体罰以外の不適切行為や暴言を受けたとの訴えも生徒から上がっている。
アンケートを巡る指摘について、同校の佐藤一司教頭は取材に「うみを出し切らなければいけないと思い、暴言なども含めて把握するためにアンケートをした。驚いている」と答えた。【樋口岳大】