<iPS臨床応用>東大、森口氏を懲戒解雇
毎日新聞 2012年10月19日(金)13時10分配信
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床研究問題で、東京大は19日、医学部付属病院特任研究員の森口尚史(ひさし)氏(48)を同日付で懲戒解雇したと発表した。
森口氏は当初、「iPS細胞から作った心筋細胞を重症の心不全患者に移植する手術を6人に実施した」と主張していたが、その後、5件は虚偽だったことを認めた。
東大広報課によると、森口氏は学内調査に対しても同様の説明を繰り返したため、「少なくとも5件は虚偽発表であり、大学の名誉を著しく傷つけた」と判断した。森口氏は学内調査に対し「今後も東大や関係機関の調査に協力していく」と話しているという。
磯田文雄・東大理事は「教職員としてあるまじき行為で厳正な措置をした。誠に遺憾。学術研究関係の調査は継続し、できる限り速やかに、事実を明らかにしていく」とのコメントを出した。
森口氏を巡っては、過去に有名科学誌に投稿した論文についても肩書を偽ったり、盗用も指摘されている。人件費は特任研究員を務めた国のプロジェクトの研究費から支出されていた。東大と同大付属病院はそれぞれ調査組織を設け、森口氏の過去の業績などについて調べを続けている。【川辺康広、八田浩輔】