認知症研究、元東大教授「改ざんあった」
読売新聞 2014年1月10日(金)11時50分配信
東大など全国38の医療機関が参加するアルツハイマー型認知症の早期発見に関する国の大規模研究で、データの一部に不適切な処理が行われたとの指摘があり、厚生労働省は関係者からの聞き取り調査を開始した。
同研究は、国や製薬会社などが計約30億円を出し、2007年度から東大の岩坪威教授(神経病理学)を代表研究者に行われている。今年3月末に報告書が提出される予定だ。
不適切と指摘されているのは、研究に協力した545人の高齢者に対する心理試験データ。30分後に記憶を再生・確認する検査で、1時間後に行ったとの記載を、後に、40分後に検査したことに書き換えるケースがあったとしている。研究班の杉下守弘・元東大教授は「これはデータの改ざんだ。他にも条件に合わない患者の登録が多数行われており、研究の信頼性を損なう」と訴えている。
これに対し、岩坪教授は今月6日、「改ざんはない」とする調査結果を厚労省に提出。同教授は「データの確認・修正を行っている段階で、改ざんとの指摘は事実誤認だ」と話している。
田村厚労相は10日午前の閣議後記者会見で、「現時点では適切なデータの変更なのか、改ざんなのかは不明。まずは事実関係を早急に調査する」と述べた。
—–
改ざんではない、未熟…認知症研究で部門責任者
読売新聞 2014年1月10日(金)21時48分配信
アルツハイマー型認知症の大規模研究で不適切なデータ処理が疑われている問題で、研究班臨床部門の責任者の朝田隆・筑波大教授は10日、「改ざんではない。この分野の大規模共同研究は日本では初めてのため、データ処理技術など、研究班に未熟な点があった」と記者会見した。
また、被験者計545人のうち約330人について、データベースに登録された心理検査の記録と、その基になった調査票を照合したところ、「被験者としての条件を満たさない高齢者が約80人いる可能性がある」と説明した。
内訳は、認知症の状態が調査票と異なる人が約50人、認知機能に影響する薬を飲んでいるなど被験者としてふさわしくない人が約20人、被験者としての同意を得ていない人が6人。調査票への誤記やデータベースへの入力ミス、データベース自体の不具合などが原因とみられるという。