〔臨時講師の免許外指導〕学校現場、授業増に対応できず
@S[アットエス] by 静岡新聞 2014年1月11日(土)8時10分配信
静岡市の中学校での問題に端を発した臨時講師の免許外指導の違法行為が各地に波及した。10日、県教委の調査で別の4市5中学校で問題が発覚。背景に、学習指導要領改定に伴う主要5教科の授業数増加に対応できず、教科別の正規教諭数がバランスを欠いた状況がありそうだ。
「校長は違法と分かっていながらやってしまった」―。問題の中学校を抱える複数の市教委担当者は口をそろえた。多くの学校で共通していたのは、主要5教科の正規教諭の負担を軽減するため、臨時講師に授業を担わせていた実態だ。
ある学校は7学級で社会科教諭が1人しか配置されず、「全ての授業時数を受け持つのは実質難しい」(市教委担当者)状況だった。免許外申請した別教科の教諭は授業以外に研修主任など多くの分掌を抱える状況で、「仕方なく」臨時講師を充てたという。
県教委の鈴木啓之学校人事課長は「学習指導要領改定が一因になった可能性はある」と分析する。中学校では2012年度から新学習指導要領が全面実施され、音楽など実技系教科の授業時間数は比較的少なくなった一方で主要5教科は増した。
熱海市教委の柳田恭一専門監兼教職員指導室長は「人手が足りないのはどの学校も同じ。校長が意識を改めないといけない」とも話すが、どの市教委も県教委に正規教諭の増員を要望する。
財源などの問題で速やかな改善は見通せず、「当面は非常勤講師の配置などで対応するしかない」(県教委)が、藤枝市の関係者は(認められていない)教頭の免許外指導を認めるよう提案する。
臨時講師 教員採用試験に合格した正規教諭と異なり1年ごとに契約を結ぶ。主に欠員の補充に充てられ、産休や育休で勤務できない正規教諭の代わりも務める。研修機会は正規教諭より少ない。勤務時間はフルタイムで指導内容の大半は正規教諭と変わらない。正規教諭は県教委に申請すれば免許外でも指導できるが、臨時講師は免許外の教科は指導できない。