小6いじめ自殺 桐生市などに賠償命令 「意義ある判決」 群馬

小6いじめ自殺 桐生市などに賠償命令 「意義ある判決」 群馬
産経新聞 2014年3月15日(土)7時55分配信

 ■原告側 因果関係認定を評価

 平成22年に桐生市の小学6年、上村明子さん=当時(12)=が自殺したのは、いじめが原因なのに適切な対応を取らなかったとして、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟の14日の判決。前橋地裁(原道子裁判長)は、被告側に450万円の支払いを命じた。言葉によるいじめと自殺の因果関係を認めた上で、校長や担任教諭の責任も指摘しており、原告側は「非常に意義ある判決」と評価した。(浜田慎太郎)

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 裁判の争点は、(1)いじめの程度(2)学校の対応(3)いじめと自殺の因果関係−の3点。

 判決では、いじめの程度について、「継続的で頻繁な悪口、給食時の仲間はずれ、校外学習日における執拗(しつよう)な非難といういじめを受けていた」と指摘。「軽微で深刻ないじめには該当しない」という被告側の主張を退けた。また、学校側の対応を「具体的措置を講じなかった」と批判し、「校長や担任は安全配慮義務を怠った」と切り捨てた。

 さらに、「小学校における学校生活に希望を持つことができれば、首をつることはなかった」といじめと自殺の因果関係を認め、「教諭がクラスの児童に適切に指導せず、置かれた状況から逃れようとして自死を決意した」と学校側の責任の大きさを非難した。

 一方、被告側の「自殺の原因は主に家庭環境にある」との主張には、明子さんがつらい出来事があったときに両親に相談していたことなどを踏まえ、「主たる原因とはいえない」と判断した。

 今回の自殺問題をめぐっては、市の第三者調査委員会が「いじめが唯一の原因で自殺したとは判断できない」と結論づけたが、判決では「重要な資料を踏まえず、必要な補足調査も行われておらず、適正な調査が行われたとはいえない」として、委員会の調査に疑問を投げかけた。

 原告側の両親は閉廷後に記者会見し、父親(54)は「明子が亡くなった時点で私たちの時間は止まっていたが、今回の判決を明子に報告して、時間を止めることなく前に進めていきたい」と話した。母親(44)は明子さんの遺影を胸に「裁判所に行くたびに明子のことを思い出した。明子にすごく会いたい」と涙ぐんだ。

 いじめ問題解決に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の武田さち子さん(55)は「暴力を伴わない、いじめと自殺の因果関係を認めた判決はこれまでなかった。第三者調査委員会の判断の甘さまで踏み込んでおり、画期的な判決といえる」と話している。

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