<大阪府>小中教員不足深刻、講師足りず…授業3カ月無し
毎日新聞 2014年4月10日(木)15時31分配信
大阪府内の公立小中学校で、産休・病休を取った教諭の代わりなどを務める講師が足りずに学校への配置が1カ月以上遅れる事態が、昨年度に少なくとも101校で120人に上っていたことが分かった。他教科への振り替えや自習でしのぐなど、学校現場に支障が生じている。背景には、団塊世代の大量退職による教諭不足を新規採用だけでは埋められていない事情があり、容易に解消しそうにない。
府内の公立小中学校(一部の市を除く)の校長と教頭で作る組合「大阪府公立学校管理職員協議会」(大管協、大阪市)が今年2〜3月、全公立小中学校の約7割にあたる1010校を対象に初めてアンケート調査を実施。563校から回答を得た(回収率56%、3月末現在)。教員不足に関する調査は全国的にも珍しい。
1カ月以上の講師の配置遅れは回答した学校の約2割で生じており、小学校が43校53人、中学校が58校67人に上った。中学は▽国語19人▽英語15人▽理科9人▽数学8人−−の順で多かった。
茨木市の中学校では昨年10月、50代の男性教諭(技術)が急死。すぐに市教委に講師派遣を依頼したが見つからず、今年1月までの3カ月間、2時間続きの授業の1時間を他教科に振り替え、1時間を自習にした。校長は、「学力向上と言われても、現実は学習指導要領をきちんと習得させられない法令違反の状況だ。教員が一人でも倒れれば物理的に成り立たず、ぎりぎりのラインをもう超えている」と窮状を訴える。
高槻市の中学校では、産休の代替として70代の女性講師(家庭科)を配置。校長は「高齢なので心配はあったが林間学校にも行ってもらった。指導は熱心で、来てもらえるだけありがたい」と話す。
吹田市の中学の男性講師(英語)は、定年まで役所に勤めた後、60代で初めて教壇に立った。新任教諭には年間25回の研修が課されるが講師にはないため、教頭らが自主的に授業を見て助言したという。【林由紀子】
◇「改革」嫌い流出も
大阪府内の公立小中学校が教員不足に陥っている現状が明らかになった。全国的に団塊世代の大量退職に若手養成が追いつかない現状があるが、評価や規律を厳格化するなど独自の改革を進める大阪府固有の事情もあるとみられる。採用試験合格者が辞退したり、現職教諭が他府県に流出したりするケースが報告されている。
「大管協」の今回の調査で、他府県に転じた教諭が2013年度、少なくとも39人いたことも分かった。若手の26〜34歳に目立ち、11年度5人、12年度24人と増加。過去3年間で最も多かった転出先は兵庫県で15人、次いで奈良、徳島両県が7人だった。大管協は「全国最低水準の給与(今年度改善見込み)に加え、教員評価や服務規律を厳格化する条例など独自の改革を進めたことが影響しているとみられる」と指摘している。
府の教諭新規採用者はここ数年2200人台(全校種)で推移している。しかし、12年度実施の採用試験の倍率は4.0倍。全国平均は5・5倍で、近畿の他府県(5.6〜5.9倍)と比べても人気が低い。特に小学校は低倍率で、13年度が2.9倍と、兵庫県(4.1倍)や奈良県(4.3倍)などを大きく下回った。
不足を埋める講師は年々増えているが、退職者の穴を埋められていない。13年度は約2300人を採用。管理職を除く全教員に占める割合は11%と全国平均の7.1%を上回る。府教委は「任期が最大1年の講師が増えると教育活動の継続性に課題が生じる」として、22年度までに4割減らす方針だ。