<ノ社元社員逮捕>説明のらりくらり 厚労省協力指示で一転

<ノ社元社員逮捕>説明のらりくらり 厚労省協力指示で一転
毎日新聞 2014年6月11日 21時56分配信

 京都府立医大など5大学の臨床試験の論文で降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を宣伝してきた製薬会社ノバルティスファーマ。府立医大チームの論文に問題があると医学界で指摘されてもノ社は「試験に全く関与していない」と強弁した。白橋伸雄容疑者(63)の関与を問われると「既に退職した。調査への協力は強いられない」などと、真相究明に消極的な姿勢をなかなか崩さなかった。

 「我々は試験に直接関与できない。社員の試験への関与は全くのゼロだ」。府立医大の論文の一つが撤回された昨年2月。三谷宏幸社長(当時)は定例の記者会見で、記者からノ社の試験への関与を問われた際、淡々とした口調でこう全面否定した。

 しかし医療関係者の間では「ノ社の社員がデータ解析に関与していたのではないか」とのうわさが消えなかった。昨年3月、毎日新聞が三谷氏に取材すると「論文に名前が出ている白橋伸雄はうちの社員です」と認めた。だが「専門家の立場からアドバイスしただけ」と続け、試験の根幹であるデータには触れていないと強調した。

 この後、府立医大や東京慈恵会医大などが次々と調査に乗り出すと、次第に追い詰められていく。昨年5月。「社員が加わっていたことが臨床試験に疑念を生じさせてしまい、不適切だった」と初めて非を認めた。さらに、昨年7月には「研究の進め方の相談や統計解析、論文の執筆作業などに参加していた。どの患者のデータを解析に使うかを決める研究者の話し合いの場にも出席していた」と公表。全面的に試験をバックアップしていた事実をようやく認めた。

 それでも「社員がデータの意図的な操作、捏造(ねつぞう)、改ざんをした事実は確認できなかった。本人も否定している」と釈明していた。

 白橋容疑者が非常勤講師だった大阪市立大は昨年夏、白橋容疑者から話を聞きたいと協力を要請したが、ノ社は「既に退職しており、居場所も分からない」などと、取り次ごうとしなかった。データ操作が判明して問題が大きくなり、ノ社の消極姿勢に業を煮やした厚生労働省が昨年7月、ノ社に各大学の調査活動に積極的に協力するよう強く求めると、ノ社はようやく白橋容疑者に協力を促した。【河内敏康、八田浩輔】

 ◇中核担う部門の日本法人

 ノバルティスファーマ(東京都港区)は、スイスに本社を置く世界最大手の製薬会社ノバルティスグループの中核を担う医療用医薬品部門の日本法人。循環器やがん、呼吸器などの医薬品を扱い、2013年の売上高は約3260億円。社員数は約4500人(今年1月時点)。バルサルタン臨床試験などの不祥事を受け、今年4月に日本人幹部3人が更迭された。ノバルティスグループは世界140カ国以上で製品を販売し、米調査会社によると、昨年の医療用医薬品の売上高505億ドル(5兆1510億円)は世界首位。

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