<長崎・中3自殺>「いじめ記載」隠し報告 両親に町教育長

<長崎・中3自殺>「いじめ記載」隠し報告 両親に町教育長
毎日新聞 2014年6月17日 2時31分配信

 長崎県新上五島町でいじめを受けていた町立奈良尾中3年、松竹景虎(まつたけ・かげとら)君(当時15歳)が自殺した問題で、道津(どうつ)利明・町教育長が松竹君の自殺から16日後に両親に調査報告書を読み上げた際、いじめを示唆する部分を意図的に読み飛ばしていたことが分かった。両親は「教育長の勝手な判断で重要な情報が隠された」と不信感を強めている。

 両親によると、松竹君は1月8日に自殺し、学校側は翌日に全校生徒45人にアンケート。16〜20日には同級生20人に聞き取り調査をした。

 両親によると、道津教育長は1月24日、A4用紙1枚の調査報告書を両親に読み上げた。報告書には「生徒からの情報」としてアンケートや聞き取り結果から「(通信アプリの)『LINE(ライン)』のやり取りから自死をほのめかす言動があった」「下校時のバス内で(松竹君から)友人に『何だか疲れた』『自分は嫌われているんだろう?』という問いかけがあった」「(松竹君がラインで自殺の)用意ができていると友人に伝え、ビニールひもの写真を見せている」などの記載があった。

 しかし、道津教育長は「生徒からの情報」を読まず、教職員からの情報として記載された「事故に直接結びつく言動は見られなかった」や「自身の資料、交友関係、学校生活から、いじめがあり苦にしていたとはとらえにくい」などとした「総括」を読み上げた。

 報告書は両親には渡されなかった。町教委は松竹君の自殺から1カ月以上後に、この報告書を両親に開示。「生徒からの情報」の記載が記憶になかった両親が問い合わせたところ、町教委が今月13日に読み飛ばしたことを明らかにしたという。

 道津教育長は浜崎健也・学校教育課長を通して読み飛ばしを認めたうえで「ご遺族の心情に配慮した」とコメントを出した。

 松竹君の父裕之さん(50)は「読み飛ばしがなければ親としては『いじめがあったのでは』と早く気づくことができた。教育長は『遺族に配慮した』と言いながら、全く逆のことをし、遺族を傷つけている」と語った。【樋口岳大】

 ◇包み隠さずに伝えるべきだ

 子供の人権問題に詳しい住友剛・京都精華大教授(教育学)の話 「遺族感情に配慮する」と言うのであれば、まず遺族が何を望んでいるのかを聞き、遺族が「事実を知りたい」と言うのであれば、包み隠さずに伝えるべきだ。遺族の意向を確認せずにこういうことをすると、教育委員会が出したくないことを隠したと思われても仕方ないのではないか。

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