「大津中2自殺を忘れない」 越市長が本出版
京都新聞 2014年10月2日(木)22時59分配信
大津市の越直美市長は、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒が自殺した事件についてまとめた本を出版する。事件を通じ市長として感じたことや、市が取り組むいじめ防止対策を、自らのいじめ体験も交えてつづっており、越市長は「10月で事件から丸3年となるのを機に、事件を忘れず見つめ直すきっかけにしたい」としている。
書名は「教室のいじめとたたかう〜大津いじめ事件・女性市長の改革」(ワニブックスPLUS新書、207ページ)。第1章では事件が大きく報道された2012年7月以降、再調査の表明や遺族への謝罪など、市長として対応に追われる中で、市教育委員会の「いじめと自殺の因果関係はわからない」「教育的配慮」などの説明に不信感を抱いた経緯を述べている。
また、自らも小学3年の時に仲間はずれにされ、高校1年ではクラスに溶け込めず、嫌なあだ名をつけられるなどした体験を告白。「いじめられるような子どもだと思われたくなかった」と、親にも話せなかった心情を吐露している。
このほか、13年度から設置したいじめ対策推進室や第三者機関の活動状況、いじめを防ぐ行動計画策定や対策担当教員の配置など市の取り組み、責任と権限が一致しない教委制度の矛盾についても述べている。最後に、遺族の寄稿とメッセージも掲載されている。
8日から販売される。896円。印税の受け取りは辞退するという。
越市長は「当初、事件自体は大きく取り上げられたが、その後市が何に取り組み、どう変わってきたか、多くの市民に知ってほしい」としている。