教育長「暴言」、欠員での運営…大阪府教委混乱
読売新聞 2014年11月6日 13時16分配信
大阪府の教育委員会が、中原徹教育長の女性委員への「暴言」問題で揺れている。
一度は辞任を示唆した中原教育長は、女性委員に謝罪して続投を表明したが、批判は収まらず、第三者委員会で調査が行われる事態に。さらに、先月、任期満了で退任した教育委員の後任人事が府議会の反発で決められず、1人欠員のまま5人での運営が続く。委員を兼ねる中原教育長の進退問題が再浮上すれば、地方教育行政法が定める委員数の基準(5人)を割り込むことにもつながりかねない。
「一番危惧するのは、(教育委員会が)本格的な機能不全に陥ることだ」
10月29日の教育委員会議の終盤、陰山英男教育委員長は厳しい表情で述べた。
その直前、立川さおり委員が、中原教育長から同月21日の打ち合わせで「誰のおかげで教育委員でいられるのか」などと言われたとの文書を配布。小河勝委員は「パワハラだ」「教委事務局職員にも同様の威圧的発言があったと聞いている」などと厳しく指弾した。
中原教育長は、その場で「辞めることも考えなければ」と述べたが、松井一郎知事らの慰留を受け、翌日には辞任しないと表明。だが、府教委には府民らから批判が相次ぎ、府議会の野党会派からは教育長の辞任を求める声が上がる。
その中で、陰山委員長は「事態収拾のため」として、7日にも第三者委を設けることを決めた。中原教育長が、「(指摘への)異論はあるが、食い違いを解消するつもりはない」としていた立川委員に対する発言内容や、職員への威圧発言の有無も調べるという。
議会での追及や調査結果によっては、中原教育長の進退問題に発展する可能性もあり、問題となるのが教育委員の人数だ。
府の条例は教育委員の定員を6人と定めるが、現在の委員は5人。10月2日で任期満了となった委員の後任について、松井知事は中原教育長の推す企業顧問を充てる人事案をまとめたものの、野党会派の反対で撤回に追い込まれたためだ。
地方教育行政法は「教育委員会は5人で組織する」としている。5人未満でも議決は可能だが、文部科学省は「欠員が続くのは望ましくない」とする。