自殺といじめ、難航極めた審理 手探りの調査、真相どこまで/八戸北高生死亡
デーリー東北新聞社 2015年1月4日 10時19分配信
青森県立八戸北高に通う2年の女子生徒=当時(17)=が死亡し、両親がいじめによる自殺の可能性があると学校に調査を求めていた問題で、県いじめ防止対策審議会(会長・内海隆青森公立大教授)は昨年末、「いじめはあったが、自殺との直接的な因果関係はなく、原因は摂食障害など複合的」と結論付けた。尊い命を失った最悪の事態に関し、県内初の審議会はどこまで真相を究明できたのか。
■“切り札”得られず
「走りながらの審議だった」
先月23日、県教委で開かれた記者会見。内海会長は5カ月間にわたる会合を振り返った。全国でもほとんど例がない上、委員の分担や調査手法さえ決まっておらず、「手探り状態」(内海会長)だったためだ。
審理は難航を極めた。真相究明の“切り札”と期待された、女子生徒の携帯電話の通信履歴が入手できないなど、客観的事実が乏しかった。全校生徒へのアンケートや関係者への聞き取り、女子生徒が残したメモなどを基に議論を重ねた。
審議が難航した理由には女子生徒が抱えていた摂食障害もあった。途中から精神科医を臨時委員に加え、摂食障害の影響も検討。結果として「摂食障害はいじめで起きたものではない」と判断したが、いじめによる女子生徒への精神的影響については言及を避けた。
■いじめの定義
いじめと自殺の因果関係を見極めるため、審議会は、(1)加害側に心身の苦痛を与える意図があったか(2)継続的、集中的、執拗な行為か(3)一方的に被害を受けていたか―の三つの観点を独自に設定。認定した7件のいじめ行為について「悪質性は低い」と判断した。
いじめ被害者の親などで組織する「全国いじめ被害者の会」=大分県=の大澤秀明代表は、いじめ防止対策推進法で定義が曖昧になったと指摘。「国が1985年に示した“一方的、継続、深刻”の要件がいじめの本質を突いていた」と審議会の判断を評価する。
一方、弘前大教育学部学校教育講座の吉中淳准教授=教育心理学=は、現行法では被害者が精神的苦痛を感じているかが最も重要だと強調。その上で「定義に外れた継続的、一方的という観点は時代に逆行する。いじめの中には許されるいじめもあると言うようなものだ」と主張する。
■県が再調査
いじめと自殺の関連について真相解明を求める、女子生徒の両親の意向を踏まえ、県青少年健全育成審議会の「いじめ調査部会」(部会長・宮崎秀一弘前大教授)は先月28日から再調査に乗り出した。
初会合後に会見した宮崎部会長は、今後の調査について「委員から三つの観点や自殺との因果関係などについて意見が出るだろう」との見通しを示し、迅速かつ丁寧に調査する考えを強調した。
本格的な調査は、8日から始まる。大澤代表は「第三者機関は設置者の行政寄りの意見になりがち。公平に審議してほしい」と訴える。