始業前の教員に飲酒検査 福岡市 基準超せば通報(福岡)

始業前の教員に飲酒検査 福岡市 基準超せば通報
2015年5月29日10:35西日本新聞

 福岡市立中学の男性教諭(40)が4月に道交法違反(酒気帯び運転)容疑で逮捕された事件を受け、市教育委員会は28日、自家用車や自転車で通勤する全教職員に対し、始業前の飲酒検査を実施すると発表した。週1回程度、抜き打ちで検査し、基準を超すアルコール分が検出されれば、警察に通報する方針。現場の教師やコンプライアンス(法令順守)の専門家からは「行き過ぎではないか」と疑問視する声も出ている。

 バスやタクシー事業者には、道路運送法で業務前の運転手に対する飲酒検査を義務付けているが、学校でのこうした検査について文部科学省の担当者は「聞いたことがない」と話す。

 対象は市立の小中学校、幼稚園、特別支援学校計231校の教職員。開始時期は「できるだけ早く」(市教委)としている。呼気を吹きかけてアルコール濃度を測る機器を使って、始業前に教職員同士が相互チェックする。市教委によると、全教職員約8900人のうち85%が自家用車やバイク、自転車で通勤しているという。

 福岡市では2006年、3児が死亡した市職員(当時)の飲酒運転事故後も、飲酒に絡む不祥事が続いた。12年、高島宗一郎市長が全職員に「自宅外禁酒令」を通達したほか、13年には教諭2人の逮捕を受け、忘年会を自粛した。

 新たな再発防止策について20代の教諭は「仕方ないが、そこまで自分たちは信用がないのか」と話す。元検事で関西大客員教授の郷原信郎弁護士は「気持ちは分かるが、教育現場としてやるべきことの範囲を超えている。組織の社会的責任を回避するための行動にしか思えない」と指摘する。

 市教委は28日、逮捕された男性教諭を懲戒免職処分にしたと発表した。教諭は4月19日、同市中央区で同僚職員らと飲酒後、翌20日未明に酒気を帯びて乗用車を運転したとして逮捕され、福岡簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。

=2015/05/29付 西日本新聞朝刊=

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