元准教授に懲役8年 知人社長の自殺ほう助罪
産経新聞 2015.10.26 14:02
愛知県豊橋市で平成24年、知人の会社社長、小原洋典さん=当時(40)=が自殺するのを手伝ったとして、自殺ほう助などの罪に問われた中京学院大の元准教授、久野輝夫被告(55)に名古屋地裁(丹羽敏彦裁判長)は26日、懲役8年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。
検察側は論告で「保険金目当てに人の命を犠牲にした犯行で悪質」と指摘。一方、弁護側は最終弁論で「間違った親切心から自殺を手助けした。反省しており、社会復帰が可能」と寛大な判決を求めていた。
久野被告は小原さんの死後、未払いの売掛金があると偽って妻から現金をだまし取ろうとしたとして、詐欺未遂罪でも起訴されているが、弁護側は「虚偽の請求ではなかった」と同罪については無罪を主張していた。
起訴状によると、24年1月、レンタカーの車内で硫化水素ガスを発生させ小原さんの自殺を手伝ったほか、同年2月には、妻から現金約3800万円を詐取しようとしたとしている。
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久野被告は自殺ほう助罪について、「硫化水素ガスを発生させる薬剤は混ぜていない」などと述べたが、自殺を手伝ったとされる起訴内容は大筋で認めた。また、社長の妻から約3860万円をだまし取ろうとした詐欺未遂罪については、無罪を主張した。
起訴状によると、久野被告は社長の死亡後の12年2月、社長の会社に未払い金や売掛金があるとする虚偽の請求書を郵送。さらに男性の妻に「未払いについて内容証明で送りました」などとメールを送り、約3868万円をだまし取ろうとしたとされる。
発表によると、久野被告は2012年1月に死亡した同県豊橋市のコンサルタント会社社長、小原洋典さん(当時40歳)の会社に売掛金や未収金約3800万円があると装い、同年2月18日頃、小原さんの会社に請求書を郵送したほか、19日頃には小原さんの妻の携帯電話に同趣旨のメールを送り、小原さんの遺産をだまし取ろうとした疑い。
一方、久野被告が他にも保険金殺人を計画していたことが新たにわかりました。捜査関係者によりますと、久野被告は何度も中国に渡り、殺害場所や標的を探していたということです。しかし計画が頓挫したため、それを知っていた小原さんを精神的に追い込んでいったとみられ、薬品や酒などを飲ませて殺害する方法を調べた上で実際に小原さんに試していたこともわかりました。
愛知県警は、死ぬつもりがなかった小原さんに執拗(しつよう)に自殺を強要して拒否できない精神状態に追い込んでおり、殺人罪が適用できると判断した。
一方、県警に対して名古屋地検は、小原さんが自殺しか選択肢がない状況にまで追い込まれていたことを立証するのは困難と判断したもようだ。
久野容疑者は平成24年1月30日未明、豊橋市の路上に止めたレンタカーの車内で、洗剤などを混ぜ合わせて硫化水素ガスを発生させた上、小原さんに吸引させ、殺害した容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、久野被告は、小原さんのコンサルタント事業にアドバイスをする関係にあり、小原さんが殺害されたとみられる12年1月30日未明、小原さんの携帯電話に、仕事に関する内容のメールを複数回にわたって送信していた。また、久野被告が知人に「29日夜に小原さんと会い、相談に乗っていた」と話していたことも判明。県警は、いずれも小原さんの死亡に関与していないと装うための工作だったとみている。
小原さんの自宅からは、「自殺でなく他殺されることが怖い」などと書かれた書き置きが見つかった。捜査本部によると、書き置きには久野容疑者に関する記述のほか、「レンタカーで車を借りて、そこに硫化水素を配合させたものを僕に吸引させ、殺人が成り立つ」などと具体的な自殺の方法が記されていた。
県警によると、硫化水素を発生させるのに用いた洗剤や入浴剤は久野容疑者が事前に購入。その後、車で現場に向かい、レンタカー内で硫化水素を発生させたという。小原さんに外傷や拘束された形跡はなく、レンタカーも無施錠で、逃げ出せる状態だったが、そのまま死亡したとみられる。バケツや洗剤などの容器は車内で見つかった。レンタカーは前日に小原さんが借りていたが、久野容疑者の指示だったとみられる。
久野容疑者は容疑を否認していますが、小原さんの自宅からは「硫化水素自殺に見せかけた他殺だ」「この件に久野が関わっている」などと書かれたメモが見つかっていたことが新たにわかりました。このメモはパソコンで書かれ、小原さんが死亡する前に残したとみられています。
久野容疑者には数千万円の借金があり、警察は、久野容疑者が生命保険金を目当てに小原さんに自殺を強要し、殺害したとみて追及しています。
県警によると、小原さんが死亡した当日朝、家族が「釣りに行ったまま帰ってこない」と行方不明届を豊橋署に提出。その後、小原さんの自宅から「硫化水素自殺に見せかけた他殺。この件に久野容疑者が絡んでいる」という趣旨のメモが見つかった。
発表によると、3人は共謀して昨年8月、同大1年だったこの女が、中国の大学に以前在籍していたとする在学証明書を偽造して中京学院大に提出し、女を3年に編入させた疑い。久野被告と胡容疑者は先月、別の中国留学生女2人を同様に不正編入させたとして逮捕されたが、名古屋地検は2日、処分保留とした。
偽造した成績証明書を用い、中国人学生2人を大学3年に編入させたとして、愛知県警国際捜査課などは12日、有印私文書偽造・同行使容疑で、中京学院大(岐阜県中津川市)の元准教授久野輝夫容疑者(53)=名古屋市天白区久方=を逮捕した。同課は、不正に編入させた中国人が他に数十人いるとみて調べる。
検察側は冒頭陳述で、久野被告に同性愛の好みがあるとした上で「被害者に交際を迫ったのに拒否され、実力で捕まえて自己の思いを伝えるしかないと思った」と動機を指摘。知人に紹介された門田被告らに頼み、男性を監禁、暴行したとしている。
容疑は1月31日午後0時半ごろ、久野容疑者が理事を務める名古屋市熱田区の語学学校で、知り合いで会社役員の中国人男性(30)に殴る蹴るの暴行を加えた。さらに同市中区のマンションの一室などで両手足に手錠をかけ粘着テープで目隠しをし、約12時間20分にわたって監禁したとしている。男性は顔や腕などに約2週間の軽傷を負った。