群馬大病院の患者死亡問題 「低質な医療、認識できず」中間報告、組織改革の必要性指摘

群馬大病院の患者死亡問題 「低質な医療、認識できず」中間報告、組織改革の必要性指摘
産経新聞 2015年10月27日 7時55分配信

 群馬大病院(前橋市)で同一の医師(退職)により実施された腹腔鏡(ふくくうきょう)手術や開腹手術を受けた患者30人が相次いで死亡した問題で、病院の体制を総合的に検証する目的で設立された「病院改革委員会」が26日、中間報告をまとめ、公表した。改革委の木村孟委員長は「一番の問題は低質な医療が提供され続けたことを病院が問題として認識できなかったことだ」と指摘し、病院だけでなく同大医学部医学系研究科も含めた組織改革の必要性を訴えた。

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 改革委の提言は、執刀医を「医療従事者として適格性を疑われる医師」と指摘し、その上で、執刀医が所属していた旧第2外科の肝胆膵部署が閉鎖的・属人的で、体制的欠陥を伴っていたと問題の背景を分析した。旧第2外科と第1外科は肝臓など扱う臓器が同じでありながら、今年4月に統合されるまで、別々に組織運営されてきた。それは医学部の医学系研究科内で、専門が重複する外科学第一と外科学第二が存在したことに由来し、両科はそれぞれ、外科学第一、外科学第二を担当する教授の指揮命令系統に入っていた。

 提言は、この診療体制がスタッフ数に見合わない数の診療行為を行う背景にあり、加えて診療科長の指導力不足がカンファレンス(症例検討会)の機能不全やカルテの記載不十分などをもたらしたと説明した。

 木村委員長は病院のガバナンス(統治)の問題点として、診療科の独自性が非常に強いことを指摘しながら、「病院長も含め、指導をはじめからあきらめていたと見受けられる」とも述べた。その上で、現在も医学系研究科内で、診療体制とは矛盾する講座があることを指摘し、「根本的問題が積み残され、今後、十分機能を発揮できるか大きな疑義が残る」と強調した。

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