文科省、いじめ認知「肯定評価」 見過ごされた3万件把握の後押しに 取り組みの継続が課題
産経新聞 2015年10月27日 15時1分配信
文部科学省が27日に発表した平成26年度のいじめ認知件数は、岩手県矢巾(やはば)町のいじめ問題を受けた再調査により、見過ごされていた約3万件が新たに計上された。文科省がいじめの認知を「肯定的に評価する」との方針を明確化したことが影響したとみられるが、いじめが社会問題化した直後だけ件数が急増する傾向もあり、取り組みの継続性が課題となっている。
学校現場では従来、いじめ認知件数が増えれば、教員としてマイナス評価が下るとの恐れから、教員や学校側がいじめの認知に消極的になる傾向があった。
文科省はこうした懸念を払拭するため、再調査の指示に際し「子供を守ることが第一」とし、いじめの認知を評価すると各教育委員会に繰り返し強調した。
初期段階のいじめ▽短期間で解消したケース▽対等関係に見えるトラブル−など、これまではいじめにカウントされてこなかったものも対象とするよう通知で示した。
再調査後の認知件数が当初の4倍以上に増えた福島県の県教委担当者は「文科省が『いじめを認知するのは、生徒をよく見ている証拠』と説明してくれたのが安心感につながった」と打ち明ける。
毎年発表するいじめ認知件数をめぐっては、特定のいじめ問題が発覚するたびに件数が急増するなど、正確な実態を反映していないとの指摘もある。
例えば、23年10月に起きた大津市での中2いじめ自殺事件の後となる24年度の認知件数は、前年度の約7万件から過去最多の約19万8千件まではね上がった。
自治体間の取り組みの温度差も問題視されている。1千人あたりの認知件数は縮小したとはいえ、最も多い京都府の85・4件から最も少ない佐賀県の2・8件まで30・5倍の開きがある。いまだに認知件数がゼロの学校も4割以上ある。
「認知件数はまだまだ氷山の一角」(文科省関係者)との指摘があるが、文科省のいじめ防止対策協議会座長を務める鳴門教育大の森田洋司特任教授は「認知率を上げることを国が肯定的に捉えたことで、しっかりやろうという意識が現場に出てきた」と評価。
その上で「実態と乖離(かいり)したデータは政策を立てる上で意味がない。今後も社会がいじめ問題への理解と関心を持続させることが大切だ」と話している。