沖縄・安慶田副知事、15年の教員試験で合格を不正依頼か 本人「断じてない」
沖縄タイムス 2017/1/18(水) 7:25配信
2015年に実施された沖縄県教育委員会の公立学校教員候補者選考試験(教員採用試験)で、安慶田光男副知事が特定の複数の受験者を合格させるよう、県教委に依頼していた疑いのあることが17日分かった。複数の県教委関係者が証言した。県教委は「不正行為に当たる」と判断して応じず合否への影響はなかったが、試験の信頼性が揺らぎ、副知事としての資質に疑問が持たれかねない。安慶田氏は沖縄タイムスの取材に「(不正な依頼は)断じてない」と否定した。(社会部・鈴木実、嘉数よしの)
関係者によると、安慶田氏から働き掛けがあったのは15年7月の1次試験の後。
県教委の職員が副知事室に呼び出され、複数の受験者の氏名や受験番号が書かれたメモを直接渡されたり、副知事から県教委に依頼の電話が掛かってきたりしたという。
こうした働き掛けは複数回あり、合計すると2〜4人の受験者について依頼があったとみられる。県教委は内密に対応を協議し、選考作業に手を加えることはしなかったという。
関係者の一人は「副知事の地位を利用した事実上の指示。どう断るかが内部で問題になった」と話す。
地方公務員法は全体の奉仕者としてふさわしくない行為があった場合の調査や懲戒処分について定めているが、特別職は対象外。
他県では条例などで取り決めている事例もあるが、沖縄県職員倫理規程は一般職だけが対象になっており、特別職による口利きなどを防止するルールは整備されていない。
15年実施の教員採用試験では4404人が受験し、最終合格者は451人。平均倍率は9・8倍、校種によっては20倍を超えるなど、全国でも有数の「狭き門」になっている。
平敷昭人県教育長は「自分の就任前の話であり、口利きがあったとの報告も受けていない」とし、「不正は制度上できない。採用試験は客観的、公平に行われている」と話した。
安慶田氏は1980年、那覇市議会議員に初当選。市議会議長を経て2014年12月、副知事に就任した。
——-
焦る県、火消しに躍起 副知事は否定繰り返す 教員採用試験・人事介入疑惑
沖縄タイムス 2017/1/21(土) 18:00配信
沖縄県教員採用試験や県教育庁の幹部人事を巡り、県教育委員会の方針に介入した疑いがある安慶田光男副知事は20日、改めて疑惑を否定した。翁長雄志知事も定例記者会見で自身の考えを語ったが、2人の説明には疑惑を究明する姿勢は見えず、幕引きさせたい言葉だけが目立った。
「改めて申し上げるが、口利きの事実はない」
安慶田副知事は20日午後、記者団の取材に応じ、口利きや人事介入を巡る自身の一連の報道に「事実はない」という言葉を7回繰り返した。
普段は歯に衣(きぬ)着せないストレートな言葉で、基地問題などの取材に対応している安慶田副知事だが、この日は、記者の質問のたびに用意していた数枚のペーパーを何度もめくり、「一連の報道に私は一貫して否定している」と強調した。
前日の囲み取材では気色ばみ、「やってない」と声を荒らげる場面もあったが、言動が一転。冷静さを保つように時折、眼鏡の奥の目線を宙に泳がせ、ペーパーを見ながら言葉を選んだ。
疑惑の渦にいる中で、真相究明のための外部調査実施については「私がコメントするものではない」と述べるにとどめた。
予定されていた取材時間は15分間。時間通りに取材を打ち切った安慶田副知事は、最後に「より一層、襟を正して県民に疑念や誤解を抱かれることがないように、適正に公務にまい進して参りたい」と辞職を否定し、再質問を求める記者たちを振り切り、足早に迎えの車に乗り込んだ。
客観的な調査必要 仲地博氏(沖縄大学学長)
報道をみる限り、複数の証言があり、大きな疑惑になっている。県民の信頼を回復するには、徹底した調査で事実を解明しなければならない。
今回は、競争率が高く、公正・公平性が求められる教員採用試験の公平性を揺るがす問題だからこそ、県民は大きく注目し、調査にも公平性を求めている。
県民の納得を得るには、第三者的な立場による、客観性や公平性が担保されるような調査が必要だ。
匿名性を守り、幅広い人からヒアリングしないといけない。対象が幹部だけならば、匿名性が低くなる。中堅職員や当時担当した職員からも聞き取りすべきだろう。(行政法)
——-
安慶田副知事が辞任 翁長知事に意向伝える
琉球新報 2017/1/23(月) 12:02配信
安慶田光男副知事は23日までに、教員採用試験で特定の受験生を採用するよう口利きしたとされる疑惑の混乱を巡り辞任する意向を翁長雄志知事に伝えた。23日午後に会見して発表する。【琉球新報電子版】