茨城県教委 不祥事多発に危機感

茨城県教委 不祥事多発に危機感
茨城新聞クロスアイ 2017/10/20(金) 16:09配信

茨城県内教職員の不祥事による懲戒処分が急増し、9月には強制わいせつ容疑などで3人が逮捕される事態となった。県教委はこれまで、不祥事の根絶に向けた対策を強化してきたが、現状を重く受け止め、19日には校長らを集めた緊急会議を開き、教職員一人一人の意識改革や学校組織としての対応を改めて促した。

緊急会議は同日、笠間市平町の県教育研修センターで開き、県立高や特別支援学校の校長ら約120人が出席。小野寺俊教育長は教職員の不祥事案を報告し「学校教育への信頼を大きく揺るがす、極めて憂慮すべき事態」とし、「個人の資質の問題として片付けず、教職員一人一人が組織全体の課題として、対応することが重要」と強調。さらに、「組織の力を強化し、学校全体で不祥事を根絶するムードを高めてほしい」と呼び掛けた。

県教委は新たな対策として、教員が各自で取り組むことができるインターネットを活用した研修を導入するほか、不祥事の原因や背景などを専門家を交えて研究し、学校にフィードバックする体制づくりなどに取り組む考え。

教職員の不祥事を巡っては、昨年度の懲戒処分が21件と過去10年で最多となった。本年度も6月以降増え始め、19日現在の懲戒処分は、わいせつ3件、飲酒運転1件など計7件(免職2件、停職2件、減給3件)に上る。

事態を重く見た県教委は、9月22日付で県内の全教職員に対して小野寺教育長の緊急メッセージを発信。今月2日には全市町村立学校長、教育長らを対象に緊急会議を開いた。

また、県教委は、教職員の服務規律の確保に向けた対策も推進。2月からは公立学校で、若手教員らによる「ボトムアップ型研修」を開始。「上意下達型ではなく、教員自らが企画進行することで、教職員一人一人の当事者意識を養うのが狙い」(県教委)とする。

教員らが校務分掌の立場で企画した研修会のほか、学区内の全職員によるワークショップ、定期的な短時間のグループ研修などを実施。実施校は9割を超え、県教委は「教員の意識が受け身から主体的になった」「教員間のコンプライアンス遵守意識が深まった」などとする。

しかし、不祥事案が後を絶たないことから、小野寺教育長は「不祥事が一向に減らない。まさに非常事態と認識している」と危機感を募らせ、「教職員の意識改革を行い、全県を挙げて対策を講じて、不祥事の根絶に努めたい」としている。 (朝倉洋)

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