<髪染め強要訴訟>「人格侵害」生徒側訴え 大阪地裁初弁論
毎日新聞 2017/10/28(土) 0:03配信
生まれつき頭髪が茶色いのに、学校から黒く染めるよう強要され不登校になったとして、大阪府羽曳野(はびきの)市の府立懐風館(かいふうかん)高校3年の女子生徒(18)が約220万円の損害賠償を府に求めた訴訟は27日、大阪地裁で第1回口頭弁論が開かれた。生徒側は「黒染めの強要は、生まれつきの身体的特徴を否定し、人格権を侵害する」と主張。府側は「適法だ」と反論しており、生徒指導としてどこまで許されるかが争点になりそうだ。
訴状などによると、生徒は生まれつき髪の色素が薄く、2015年4月の入学時、教諭から「その色では登校させられない。黒く染めてこい」と言われた。生徒はそれに応じて黒く染めたが、色が落ちるたびに「不十分だ」などと注意され、2年の2学期以降は4日に1回は指導を受けるようになった。
自宅には常時、10個ほどの髪染め剤を置き、度重なる使用で生徒の頭皮はかぶれ、髪はぼろぼろになった。教諭から「母子家庭だから茶髪にしているのか」と言われたり、指導の際に過呼吸で倒れ、救急車で運ばれたりしたこともあった。文化祭や修学旅行には茶髪を理由に参加させてもらえなかった。
生徒は昨年9月、教諭から「黒く染めないなら学校に来る必要はない」と言われ、不登校になった。
校則には頭髪の規定がないが、入学時に配る「生徒心得」には「パーマ、染髪、脱色は禁止する」と記載。学校側はこれを指導の根拠としており、生徒の代理人弁護士に「たとえ金髪の外国人留学生でも規則で黒く染めさせることになる」と説明したという。
黒染め強要を巡っては、過去にも訴訟になったケースがある。宮城県立高校の元女子生徒は05年、赤みがかった地毛を黒く染めるよう強要されたとして、県に550万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
黒く染めるたびに地毛の赤みが増してしまうため、生徒が「髪が傷んでこれ以上染められない」と断ると、教諭から無理やり黒いスプレーをかけられることもあったという。生徒は自主退学し、私立高校に転校した。06年10月、県が生徒に謝罪し、50万円を支払うことで和解が成立している。【遠藤浩二】