日大アメフト問題がかくも国民的関心事となったワケ… 他大学にとってもひとごとではない共通の問題点

日大アメフト問題がかくも国民的関心事となったワケ… 他大学にとってもひとごとではない共通の問題点
夕刊フジ 2018/6/8(金) 16:56配信

 【小林至教授のスポーツ経営学講義】

 日頃、関心を示す方があまり多くない大学アメフトの、それもシーズン前のオープン戦での反則が、ついに日本最大級の学校法人の経営を直撃するという驚きの展開となった日大アメフト悪質タックル問題。

 他の大学にとっても、ひとごとではない、教訓に満ちた一件だった。実際、もしわが大学で同じことが起こったら、とぞっとしながら事の成り行きを見守っていた関係者も多いことと思う。

 まず部活動と大学との関係。日本における大学の部活動は、自主自立の課外活動であり、大学は不干渉というのが慣例だ。多くの大学では、監督は大学の業務としての位置づけはなく、その人事や報酬(といっても交通費プラスα程度の謝礼というのがほとんどだが)をOB会が担っている場合が多い。今回、内田氏は大学の常務理事だったが、アメフト部の監督人事に大学当局が介在していたとは思えない。

 そんな第三者の監視が届きにくい大学運動部の世界では、指導者は生殺与奪の権利を背景に、カルト集団の教祖のような服従の構造をこしらえ、学生を意のままに操ることも不可能ではない。ましてや、内田氏の場合は、大学当局においても常務理事という大幹部だから、学生が問題提起をするには、あの記者会見のような辛い手段を取らざるを得なかったのは、ガバナンスの欠如に他ならない。この類の指導者は昔も今も存在する。

 監督が学校法人の経営陣に名を連ねている例も、大学スポーツに限らず、高校野球などでも散見する。そういう部活動については、監視機能が効いているかどうか、学校関係者は対岸の火事とせずに今一度の確認をしたほうがいいだろう。

 今年度中にNCAA(全米大学体育協会)の日本版を発足させる狙いのひとつが、まさにそこである。各大学には学内の運動部を統括し、責任を負う部署を明示してもらった上で、日本版NCAAは第三者の目をもって監視、調査・懲罰の機能を負うことになる。

 そしてもうひとつ指摘しておきたいのは、大学経営は文科省の設置要件など一定の基準を満たせば、経営の自由度はかなり高いことだ。高等教育機関として公共性の高い大学を経営するような立場にいる者は、その自由度を逆手に取るようなことはしないことになっているが、経営を厳しく監視する株主の存在もなく、経営を担う理事会はもちろん、その監視機能を担う評議委員会や監事会までシンパで固めて、ガバナンスを機能不全にすることは可能だ。

 今回の一連の悪質タックル問題が国民的関心事となったのは、大学スポーツの問題にとどまらず、日本社会に対して多くのヒトがもっているガバナンスへの疑念が噴出したからではないか。

 ■小林至(こばやし・いたる) 1968年1月30日生まれ。東大から1991年ドラフト8位で千葉ロッテに指名され入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となったが、1軍登板なく93年退団。その後、米コロンビア大で経営学修士号取得。02年から江戸川大学助教授。05年から14年までソフトバンク球団取締役を兼任。現在、江戸川大学教授、専門はスポーツ経営学。

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