またか、悲痛の受験生「何を信じたら…」 兵庫県立大入試ミス

またか、悲痛の受験生「何を信じたら…」 兵庫県立大入試ミス
神戸新聞NEXT 2018/8/28(火) 21:10配信

 合格発表から約5カ月。兵庫県立大工学部後期入試で出題ミスが明らかになった。「またか」。昨年度一般入試で大阪大、京都大が多数の追加合格者を出した問題は記憶に新しい。夏休みの追い込みに励む受験生は「何を信じたらいいのか分からない」と憤る。実験や研究などで県立大のキャンパスにいた学生からも「大切な半年間を奪われ、本当に気の毒」など、厳しい声が噴出した。

 「阪大、京大と続き、まさか県立大も。ショックだ」とするのは、国公立大の理系を志望する篠山鳳鳴高3年の男子生徒(18)。1日10時間以上の勉強を続けており「私立大が合格者数を抑制して浪人生が増えており、不安が増す。大学のミスで人生が左右されるとなれば納得できない」と憤った。

 「私立の理系は学費が高く、県立大を選ぶ生徒も多い」とするのは、神戸市内の高校で進路指導をする男性教諭。「大学受験は万人に平等、と指導している。その前提が崩れてしまう。これだけミスが続くと、どう指導したらいいのか」

 同学部がある姫路工学キャンパス(姫路市)の学生からも厳しい声。「発覚するのが遅すぎる」と男子大学院生(22)。「今更『合格していました』と言われても、自分なら入学したいとは思わない」と語気を強めた。

 浪人を経験した別の男子大学院生(23)は「大切な半年間を奪われた受験生は本当に気の毒。入学しても、1年の前期は力学など基礎的な授業が多く、遅れを取り戻すにもかなり授業を詰め込む必要がある。大学になじむのも大変だろう」と気遣った。

 会見で「非常に情けない」とうなだれた工学部長の川月喜弘教授は、原因の一つに「高校の学習範囲から出題しているかという点に意識が集中してしまった」ことを挙げた。「何度も解いたことで慣れもあったのかもしれない。点検の回数をただ増やすのではなく、担当教員を増やすなど、実効性のある再発防止策を考えたい」とし、唇を結んだ。(井上 駿、伊田雄馬)

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