日大水泳部がひた隠す悪質リンチ「後輩を馬乗りボコボコ」
文春オンライン 2018/9/26(水) 16:00配信
日本大学水泳部で、3年生部員による悪質リンチが起きていたことが「週刊文春」の取材で明らかになった。9月6日、インカレ開催を翌日に控えた横浜国際プールで事件は起きた。被害者は、2年生のA君(20)だった。
水泳部関係者が明かす。
「その日、A君は部員の荷物番を任されていたんです。前日に寝つきが悪く朝方まで起きていたため、A君はつい居眠りをしてしまった。全体ミーティングでもそのことを注意されたのですが、その後、A君は誰もみていない場所で、3年生から殴る蹴るの暴行を受けたのです」
無抵抗のままボコボコにされたA君は全治2週間の怪我を負った。
A君の兄が怒りを込めて語る。
「死ぬかと思ったと、本人は話していました。左腕と胸のあたりには大きなアザがあり、肋骨は折れていなかったものの、当初は息をするのもつらかったと漏らしていた。暴行がばれない様に、顔はほとんど殴られなかったというのですから悪質極まりない。実は、昨年も弟は同じ部員から馬乗りになって殴られるなどの暴行を受けていた。何より許せなかったのは、日大が一連の暴行事件を隠蔽しているように思えたからです」
日大水泳部の監督を務めるのは、日本水泳連盟の副会長の上野広治氏(59)。これまで競泳日本代表のヘッドコーチや、連盟の競泳委員長を歴任した連盟幹部だ。
今年1月、上野監督は別の暴行問題に直面したばかりだった。
「競泳平泳ぎの小関也朱篤(26)が昨年末に代表合宿で後輩選手に暴行を働いたのです。それを受け、連盟副会長の上野氏は日本代表となった選手、指導者に提出を求めていた誓約書の内容を厳格化するなど再発防止策を表明しました」(スポーツ紙記者)
9月25日、上野監督は「週刊文春」の取材に、次のように答えた。
「事実関係を確認している段階であり、隠蔽しているつもりはありません。公表は考えていません。大学がどうするかは知りませんが」
日大は大学水泳界の名門で、東京五輪でメダルが期待される池江璃花子選手の進学が確実視されている。
9月27日(木)発売の「週刊文春」では、リンチ事件の詳細、A君の兄のインタビュー、田中英寿理事長体制で不祥事が相次ぐ日大の対応の全容を報じている。
——
日大水泳部暴力問題 上野監督が事実認め謝罪「未熟だった」リンチ、隠ぺいは否定
デイリースポーツ 2018/9/26(水) 19:07配信
日本水泳連盟の副会長で、日本大学水泳部の上野広治監督(59)は26日、都内で「週刊文春」が27日発売号で、同部で起こったとされる暴力問題を報じることを受けて、会見した。
上野監督は9月の日本学生対校選手権で暴力があったことを事実と認め、「大変申し訳ない。運営が未熟だった」と謝罪。一方で、報じられた“リンチ”という暴力の度合い、隠ぺいについては否定した。
その理由として、被害学生との話し合いの中で、被害学生が大学や警察への連絡は必要ないとしていた点、被害者、被害者家族、加害者、加害者家族との話し合いに上野監督が立ち合い、部内で解決していた点などを挙げた。会見には被害選手の母親も同席し、「監督は何も意図的に隠そうとしていることはなかった」と、証言した。
事の発端は、9月に横浜国際プールで行われた日本学生選手権の公式練習。ウオーミングアップ中に、レギュラーではない2年生の男子選手が居眠りしたという。同選手は前夜、ゲームで徹夜していたことが分かり、寮に戻った後、上級生の3年生部員2人が、「インカレに懸ける4年生の気持ちがわからないのか!」と言い、馬乗りになって、胸ぐらを掴んだり、肩を強く掴み揺さぶる、また殴るなど、暴力をふるったという。
その上で、上野監督は「日本選手権後、部屋替えがあり、被害者の選手が、おばあさまの家でお風呂入った時、腕にあざがあった。10日夜に報告があり、写真を送ってくれと。それを見て、翌11日に病院に行って診断し報告をくれと本人と会話した」と状況を説明。その上で「暴行に関わった上級生2名、暴行したのは1名から聞き取った。被害学生との話の中で、傷害事件として警察に報告する内容でないと12日に事実確認した。まず、部内での事実確認に重点を置き、部内では15日に解決した」と、説明した。
日大は今年に入り、体育会クラブでの不祥事が相次いでおり、5月にはアメリカンフットボール部の悪質タックル問題が社会問題となり、田中英寿学長が「深く反省し、改めて学生ファーストの精神に立ち返って今後の大学運営を行っていく」と、宣言した。しかし、その後、同8月にはが問題となった。