学校責任者からセクハラ 元高校講師の訴え認め、賠償命令 京都地裁
毎日新聞 2019/6/28(金) 19:39配信
学校法人つくば開成学園(茨城県牛久市)が運営していた「つくば開成高校京都校」(現・京都つくば開成高校、京都市下京区)で2012年、講師だった太田恵子さん(32)=静岡県=が分校長に当たる男性にセクハラ行為を受けたとして、男性と法人に慰謝料など約7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、京都地裁であった。久留島群一裁判長はセクハラ行為を認め、男性と学校法人に594万円の支払いを命じた。
判決によると、太田さんは12年4月から学校の責任者の男性からキスや胸を触るなどのセクハラを受け、同年7月にはホテルで性交させられ、うつ病などを発症した。
男性は「合意の上だった」と主張したが、判決は「性的被害を受けた場合、逃げたり直接的な抵抗をしたりできるのは被害者のごく一部で、身体的・心理的まひ状態に陥るなどする被害者が多い」「被害者の態度が同意を表すように見えても、実はそうでないことが十分あり得る」などと指摘しセクハラ行為に当たると認定。うつ病との因果関係も認めた。
法人についても「セクハラの相談窓口がなかった」「実効的な指導がされていたか疑問」として使用者責任を認めた。一方、賠償額については太田さんが37年と主張した労働能力喪失期間を「有効な治療はある」として10年とするなどし減額した。
判決後に記者会見した太田さんは「600万円では私の失った7年の賠償にはならない。被害が無ければ教員として自己実現できた」と涙を流し、他のセクハラ被害者に向けて「私は自分が汚いような気がして苦しんだが、まずは生き抜いてほしい」と語った。
同法人は「弁護士と相談して今後の対応を考える」とコメントした。【国本ようこ】