著者の知らぬ間に教科書に捺印、懲戒処分にしなかった韓国教育部

著者の知らぬ間に教科書に捺印、懲戒処分にしなかった韓国教育部
朝鮮日報日本語版 2019/10/1(火) 10:40配信

 執筆責任者の印鑑を「こっそり捺印(なついん)」して小学6年生1学期の韓国国定社会科教科書を違法修正したとして起訴された教育部幹部職員に対し、教育部が何の懲戒処分もしていないことが30日、確認された。

 最大野党・自由韓国党の李鶴宰(イ・ハクチェ)議員が教育部から提出を受けた資料によると、2014年から今年8月までに教育部職員6人が検察によって起訴された。このうち5人が罷免・停職・減俸されたが、教科書の違法修正を指揮したとして起訴されたA課長だけが唯一、懲戒処分されなかった。

 A課長は教育部の教科書政策課長を務めていた2017年、執筆者のパク・ヨンジョ晋州教育大学教授を排除した後、教科書違法修正を指示したことが検察の捜査で分かった。これにより、A課長は職権乱用・権利行使妨害、私文書偽造教唆などで今年6月に起訴された。国定社会科教科書は当時、「大韓民国樹立」が「大韓民国政府樹立」に変わるなど、213カ所が修正されていた。教育部は昨年2月、A課長に海外派遣勤務という「特別待遇」を与えた。A課長は起訴された後も職位は変わらず、最近では育児休業の申請も受け入れた。育児休業期間は7月から2020年4月までだと教育部では説明している。「金相坤(キム・サンゴン)教育部(長官)」が昨年6月、朴槿恵(パク・クネ)政権下で推進された歴史教科書の国定化を「積弊・国政介入」と規定、17人(青瓦台5人、教育部8人、民間人4人)を検察に捜査依頼したのとは対照的だ。当時の捜査依頼対象には李丙ギ(イ・ビョンギ)元大統領秘書室長をはじめ、教育部職員、国定教科書広報会社関係者まで含まれていた。
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 現行の国家公務員法は「刑事事件で起訴された者(略式命令を除く)に対しては、職位を付与しないことがある」と規定している。2014年から現在までに起訴された教育部職員5人は懲戒議決要求が出てから三日以内にすべて職位解除された。私的な場で「民衆はイヌ・ブタ」と発言して物議を醸した同部のナ・ヒャンウク政策企画官は懲戒議決要求が行われた2016年7月13日の当日に職位解除されている。

 一方、A課長には7月12日に懲戒議決要求があったが、職位解除どころかそれから80日以上、どんな形の懲戒処分も行われなかった。教育部側は「国家公務員法上の職位解除条項は無条件に履行しなければならない『強行規定』ではない。職位解除されたあとの5人は業務遂行の公正性に影響を与える可能性があったが、A課長は現在の教科書業務とは関係のない職務に移動したため職位解除していない」と説明した。

 李鶴宰議員は「当時の金相坤教育部長官にまで捜査が及ばないようにA課長が『引き受けた』ため、それに報いるという観点から懲戒処分していないのでは、と疑われる」と言った。野党は「裁判の過程では、A課長が上層部の指示の有無を暴露する事態を防止する目的もあったのではないか」という疑惑も取りざたされている。当時の検察の捜査がA課長のところまでで終わったため、教育部内部とその周辺からは「国定教科書修正問題は文在寅(ムン・ジェイン)政権の次元での関心事項だっただけに、上層部の介入なしにA課長単独で行った蓋然(がいぜん)性は欠ける」という声が上がった。大田地裁で先月行われた裁判で、A課長側の弁護人は「教科書修正に対する自主規定が不備な上、頻繁に人事異動などがあるため業務の経験も不足していた」と主張した。

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