“裏”と呼ばれる臨時教員 「職員室が地獄」記憶よみがえり吐き気
神戸新聞NEXT 2019/11/7(木) 11:00配信
神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題を受け、学校や保育現場でのパワーハラスメントやいじめを打ち明ける声が神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」などに多く寄せられている。「人ごとではない」「職員室が地獄」−。悲痛な訴えに共通するのは陰湿な嫌がらせの実態と、SOSを正面から受け止めようとしない管理職らの姿だ。(末永陽子、堀内達成)
■「非正規は“裏”」「辞めろ」
<中学校臨時教員30代女性>
「報道を見て、当時の記憶がよみがえってしまった。吐き気がしました」
兵庫県内の中学校で臨時教員として働く30代女性。3年ほど前、20〜40代の正規教員2、3人から嫌がらせを受けたという。赴任直後の学年会議で、先輩だった40代教員のアイデアに反対した時期から始まった。
臨時教員は「裏」と呼ばれ、「裏のくせにえらそう」「裏はさっさと辞めろ」とあからさまに言われた。生徒や保護者に「あの先生はまだ正規採用じゃない」とも言いふらされた。校内会議で「誰かさんは保護者からの評判が悪い」「仕事をさぼっている」などと、身に覚えのないことで非難されたこともある。
当時の男性校長に相談すると「正規として採用されたかったら、うまくやってよ」と取り合おうともしなかった。嫌がらせは数カ月続き、不眠や食欲不振、耳鳴りに悩まされるように。「生徒と触れ合う時間が唯一の癒やしで、職員室にいる時間が地獄だった」
土日も部活動の仕事に追われて病院へ行く時間もなく、見かねた夫が教頭や教育委員会に相談。女性は1年で学校を変わった。担当クラスには心残りもあったが「あのまま無理をすれば、心も体も壊れていたと思う」と涙を拭った。
■「園長、何もしてくれず」
<こども園保育士50代女性>
神戸市内の認定こども園で3年前からパート保育士として働き始めた50代女性は、同じ0歳児クラスを担当する40代の副主幹と同僚女性から嫌がらせを受けた。きっかけは17年夏、この同僚に対する保護者からの苦情を園に報告したことだったと感じている。
例を挙げるときりがない。職員会議で決まったことを教えてもらえない。休みの希望を出すと、嫌みを言われる。息子にプレゼントされた大切なかばんを「フリマアプリで売ったろか」。便を包んだおむつを投げつけられたこともあった。
こんな行為にもなんとか1年近く耐えたが、ストレスから舌をかむ癖がつき、やがて腫瘍化。今年3月から療養のために休職し、8月に退職した。
中には守ろうとしてくれる保育士もいたが、園長は「相談しても何も対応してくれなかった」という。療養後も体重が2週間で14キロ減ったり、2カ月で20キロ増えたりと異変があり、病院通いが続く。
「子育て現場でこんなことが起きるなんて思いもしなかった」と女性。一時はキャリアアップを目指して関連の教材も購入したが、いまだ開封できないでいる。「ご飯をおいしく食べて、しっかり眠りたい」。今はただ、普通の生活を取り戻したいと願っている。