加古川の小中学校で体罰23件、教員11人の行為認定 大半は市教委も把握できず
神戸新聞NEXT 2020/1/30(木) 8:00配信
兵庫県加古川市教育委員会は29日、小中学校の教員を対象にした緊急の聞き取り調査を実施し、教員11人が小学生9人と中学生14人に体罰をしていたと発表した。計23人のうち一部は公表していたが、大半は市教委も把握できていなかった。体罰でけがをした子どもはいなかった。(切貫滋巨)
同市では中学校の教諭が昨年10月、生徒の腹を殴ったことが発覚。12月には別の中学校の教諭が生徒に「殺すぞ」と暴言を吐いたことも判明している。
市教委によると、体罰を認定した教員11人にこの2人が含まれ、計10人への体罰があった。ただ、「殺すぞ」の暴言は体罰に認定しなかったという。
この2人以外の9教員のうち3人も、それぞれ2〜3人の体罰に関わっていた。主な内容は、手やスリッパで頭をたたく▽旗で脇腹を押す▽部活動中に、猛暑の中で全部員に約5キロ走らせる▽約2時間立たせたまま叱る−。5キロ走らされた生徒の1人は気分が悪くなったという。不登校になったり、部活動を辞めたりする例はなかった。
体罰とされなかったものの、子どもの人格を否定するような発言や、机をたたくといった威嚇をした教員が8人おり、市教委は指導が不適切だったとした。
現在、学校側が児童生徒や保護者に謝罪しており、体罰をした教員にさらに聞き取りをした上で県教委に報告する。また体罰防止に向けて全教職員を対象に怒りの感情を制御する「アンガーマネジメント」などの研修を実施したという。
会見に臨んだ山本照久教育指導部長は「以前に比べると体罰自体は減少していると考えるが、確実に根絶するために調査では厳しく判断した」と話した。
市教委は昨年12月、小中学生を対象にしたアンケート結果を公表。小学生57人、中学生31人が「体罰を受けた」と回答していた。今回の聞き取りは、アンケートで名前が挙がった教員を対象にした。