自分の研究を「人に使って効果・副作用を確かめたかった」…無届け再生医療で元講師
読売新聞オンライン 2020/2/1(土) 10:05配信
大阪医科大(大阪府高槻市)で脂肪幹細胞を人に投与する再生医療が違法に行われたとされる事件で、元講師で医師の伊井正明容疑者(52)が大阪府警の調べに対し「(自分の研究を)人に使った場合の安全性や効果、副作用をこの目で確認したかった」と動機を供述していることが、わかった。府警は31日、他にも無許可で再生医療を行ったなどとして、伊井容疑者を再生医療安全性確保法違反容疑で追送検したと発表した。
府警によると、伊井容疑者は在職中だった昨年3〜5月、大阪医大の研究施設が再生医療に使う施設として国の許可を得ていないのに、知り合いの元大学教授(82)とその知人女性(40歳代)の計2人の脂肪幹細胞を加工し、培養した疑いで逮捕された。
伊井容疑者は、再生医療を行う際に必要な国への実施計画(提供計画)の届け出を怠ったまま、女性に採取・培養した細胞を点滴投与した疑いもあり、逮捕後の捜査で、無届け投与が裏付けられた。また、昨年4〜7月、知人の男性獣医師(64)の脂肪幹細胞を研究施設で培養していたことも新たに判明。府警は、この2件についても同法違反容疑で追送検した。
脂肪幹細胞は様々な組織に変化し、再生医療で広く使われている。伊井容疑者は細胞を培養した際、自身が考案し、脂肪幹細胞が持つ再生効果を高めるとする技術で加工を施していた。効果は動物実験でしか確認されておらず、人に使える段階になかったという。
伊井容疑者は動機について、自身の研究を試したかったと説明したほか、「人に投与すれば、将来の治療薬開発も視野に入る」とも話したという。
府警は、伊井容疑者の指示で無許可培養を行ったなどとして、部下の助教(39)や看護師ら計6人も同法違反容疑で書類送検した。
伊井容疑者は1月27日に釈放されている。