「いじめがなくなっていない…」我が子を失った父親が「体験」語る…南中山中いじめ自殺から4年〈仙台〉
仙台放送 2020/2/5(水) 6:02配信
4年前の2月3日、仙台市泉区の南中山中学校の2年生だった男子生徒が、いじめを苦に自殺しました。我が子を失った父親は、その後の学校の対応をめぐりさらに苦しめられました。当時の体験を赤裸々に語ることで、再発の防止を訴えています。
男子生徒の父親
「4年たってもいじめがなくなっていない。逆にますます陰湿ないじめが多くなって何も変わっていない」
息子を亡くして4年、父親は当時14歳で命を絶った息子に手を合わせました。
男子生徒の父親
「そこまで深刻に本人が悩んでいたとは、学校も私たちも分からなかったのかなと…」
父親はこの4年間、学校や教育委員会に、思いを踏みにじられてきたと話します。
去年12月、初めて“実態を打ち明けたい”と、講演会を開きました。
男子生徒の父親 (講演会)
「後のアンケート調査でクラスメイトは『ここ最近元気がなく暗かった』と答え、息子が亡くなる前日、理科の授業中に何人かに『遺書の遺ってどう書くの?』と聞いて回ったそうです。携帯電話で漢字変換すればすぐに分かるのに、わざわざ聞いたのは、止めてほしかった、気付いてほしかったのだと思います」
いじめの実態が浮かびあがる中、教育委員会は…。
男子生徒の父親 (講演会)
「記者会見では、校長と同席した教育長が『今のところいじめの認識はない』と断言していました。私たち夫婦と親せき一同はあっけにとられました」
そして、「自殺の原因」としたのが「失恋」でした。
男子生徒の父親 (講演会)
「『自死の原因は恋愛みたいですよ』と市教委に言われ、同級生数名とのラインのトーク履歴のコピーを持ってきました。確認すると確かに亡くなる約1週間前に、報告の内容が見受けられましたが、別の生徒とのトーク履歴には『部活や学校でいじめられている』とはっきり残っていました」
学校側は「いじめ」に関するラインの履歴を削除するよう、複数の生徒たちに指示していました。
学校のアンケート調査のあと、弁護士や専門家などによる第三者委員会が立ち上がりましたが、不信感は募るばかりでした。
男子生徒の父親 (講演会)
「遺族推薦の委員が入れることは一切知らされませんでした。第三者委員会の日程も教えられず、委員会が開催された夜9時〜10時くらいに話し合った内容を電話で端的に話され毎回終わります」
自殺の原因を「失恋」とした学校側に対し、第三者委員会は発達障がいを挙げ、「からかわれやすかった」としました。
具体的な「いじめ」を明らかにしたのは、その後の再調査委員会でした。
二転三転した調査結果。
男子生徒の父親
「第三者委員会は警察みたいに強制力がないというのが一番の原因。加害生徒の名前は何人か挙げているが、聞き取り調査に協力してくれない」
当時の校長への懲戒処分は、4段階の処分のうち最も軽い「戒告」でした。
教育委員会は「過去の事例を参考に処分の重さを決めた」としています。
男子生徒の父親
「身内に甘い。処分が軽いということは、また問題が起きてもまた現場に復帰できるんだと」
“隠ぺい体質”や“自己保身”のまま、いじめへの対応は進むのか、遺族は仙台市に厳しい目を向けています。
仙台市 郡和子 市長
Q.いじめ対策について
「それぞれ学校現場でさまざまな取り組みが進められておりますので、一定の効果は上がっているものと認識しておりますが、みんなが君たちのことを見ているんだよと、その思いを発信できるようにしていきたい」
男子生徒の父親
「この苦しみは実際に遺族にならないと分からないと思いますけど、同じような思いをする遺族をなくしたいと思います。同じように悩んでいる、いじめられている子供を何とかして助けたいです。生きてほしいです」