「今回は既に“3敗”」 教員間暴行で集中砲火浴びた、プロ野球ドラフトさながらの神戸方式とは
神戸新聞NEXT 2020/2/6(木) 11:45配信
神戸ハーバーランドのビルに仮移転している神戸市教育委員会。今年1月初めから連日、深夜まで明かりがともる部屋がある。
壁には、学校ごとの用紙がびっしり。10人ほどの職員が、名前や住所が記されたカードを割り当てていく。4月の教員異動案を練る作業だ。
校長が中心となって教員人事を決める「神戸方式」は、市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題で集中砲火を浴びた。もともと問題発覚前から2021年度での完全廃止が決まっていたが、市教委は一部前倒しを決定。管理職を補佐する「主幹教諭」らの異動については、20年度から市教委主導に切り替えた。今年は神戸方式と併存する。
市立小学校は163校、中学校は82校。「学校数も人数も膨大。慎重さも求められる」と幹部。初めての作業が手探りで進む。
◆
半世紀前から連綿と続く神戸方式。その特徴は「希望」と「承諾」にあった。
年末になると各校長は自校で異動を「希望」する教員をリスト化し、市教委が全市分を集約。各校長はその中から異動教員の後任候補を選び、それぞれの在籍校に出向いて面談する。
「あなたには生徒指導の中核を担ってほしい」「ベテランとして若手教員を育てて」。校長はプロ野球のドラフトさながらに口説き、「承諾」を得られれば在籍校の校長と連名で判を押し、異動が内定する。
「望まれて新任校へ向かうことが教員の意欲につながる」とされた神戸方式。一方、本人が希望しなければ、最大9年間は異動リストに入ることはない。仮に面談しても「ノー」と言えば、その案は見送られる。
東須磨小問題では校長が人事を意のままにしている、との見方も広がったが、「実際はそうもいかない」とある校長は明かす。今回、最後の神戸方式だが、「既に“3敗”している」。3人の教員に希望を出したが断られたという。
◆
神戸方式の課題はかねて指摘されていた。市教委幹部らが執筆し、1993年に出た「神戸市教育史」には「計画的人事調整ができない」との文言がある。
つまり、個々の学校や教員の事情には応じられるが、全体を見渡して配置を考える仕組みにはなっていない、ということ。神戸の教育事情に詳しい識者は「人事を通じて組織に風を吹かせることができない。それが何よりの短所だ」と指摘する。
他都市と比べても特徴は際立つ。例えば京都市では市教委が各校長と面談して人事を固め、「校長間でのやりとりは行わない」と文書で明確に禁じている。
ただ、神戸市教委の方針転換には、現場から反発の声が絶えない。押し切った先の成果は、これから問われる。(取材班)